働きバチでも蟻でも、実に「7割は働かない」のが自然界の生き物の法則
ほぼ10年ほど前に長谷川英祐氏が書いた『働かないアリに意義がある』という本が大変話題になりました。
働き者だから働きバチや働きアリという名がついているはずなのに、こうした昆虫の実に7割がさぼっているというショッキングな内容からはじまって、その7割の働かないものたちが巣全体の存続を保っているというなかなか興味深い内容です。
しっかり働いているのは、全体の2割から3割にすぎないという話を聞きますと、戦前の選民理論のもとになったパレートの法則を思い出させるわけですが、日本のサラリーマン社会でも上位の2割が優秀なだけで、それ以外は結構ぼんやりしている社会が高度成長期から続いてきたことは間違いなさそうです。
ただ、ハチやアリの場合、この7割の働かない層がここ一番、仕事をしなくてはならないときにしっかり働くという補完機能を持っている点が、どうも人間における企業のサラリーマン社会と違うようです。
国内企業は、もはや労働力枯渇という、ここ一番の状況に働けるかどうかわからない中年層はバッサリ切り捨てることを選択しているようで、再教育したり新たな能力開発をして雇用を続けるつもりはまったくないようです。
70歳まで働く社会を呼びかける国と現実のギャップが埋まらない
安倍政権は「働き方改革だ」「やりがいのある社会だ」「生涯現役社会だ」と都合のいいことを吹聴して、とにかく国民が70歳までは働く老後レス社会を実現しようとしています。
しかし、すでに40代から働きたくても再就職先のない状況が完全に示現しはじめています。
このギャップを個々人が社会生活の中から埋める手段を見つけるのは極めて難しいものがあり、自ら新たな能力開発をして次なる正業を見つけることは至難の業です。
FXやCFDの取引で少しでも収入を稼ぐことができればなどとも思いますが、サラリーマンがいきなり専業のトレーダーになって安定的に利益を確保できるほど甘くないのが相場の現実で、簡単にはお手伝いできないのが現状です。
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