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なぜ新型肺炎で円急落? 嘘っぱちだった「有事の円買い」「安全通貨の円」の正体=栫井駿介

円安でも外国株を買う理由

私は外国株も取引します。まさに直近でも米国株(ADR)を買ったわけですが、それは円安のタイミングでした。円貨で買ったので、安い円で高いドルを買う「損なタイミング」という見方もあると思います。

しかし、私は為替変動はほとんど気にかけていません。まったく無視していると言っても良いくらいです。

1つの理由は、為替の動きがまったく読めないからです。企業業績が基準となる株式とは違い、為替はあらゆる経済事象が変動要因となります。その時の社会情勢によって、心地よい水準が変わるのです。数年前は1ドル100円未満が当たり前だったことを覚えているでしょうか。その中で1円の差を気にしてもしょうがありません。

米ドル/円 月足(SBI証券提供)

米ドル/円 月足(SBI証券提供)

私が外国株を持つ理由に、通貨分散もあります。人的資産を含めて資産の大部分は日本円ですから、外国資産を持つことは重要な資産分散戦略です。そう考えると、例えばドル資産を買えるならそれだけで儲けもので、ドルベースで株が下がったら為替は考えずに積極的に買います。

外国株を一度買ったら、価値の上昇や配当により、自然と外国資産が増えることになります。大切なのは資産分散ですから、よほど必要性がなければ円には戻さず、外貨のまま持っていれば良いのです。

そして何より、私は長期的には円安になると思っています。短期的な動きはわかりませんが、長期的に見れば経済の強い国の通貨は上昇し、弱い国の通貨は下落することは間違いありません。

日本財政がどうのこうのという難しい話をせずとも、日本とアメリカのどちらの経済が強いかは明白でしょう。そう考えると、円が高くなり続けるという状況は想定しづらいのです。

外国株はどうしても馴染みが薄くなりがちですが、魅力的な銘柄はたくさんあります。むしろ、本質さえ捉えていれば余計な雑音に左右されず持ち続けられるメリットもあります。持ち続けるにふさわしい優良企業も、日本以上にたくさんあるのです。

日本株と外国株、どちらが良いということではありません。それぞれ良いところ、悪いところがあります。良いところに焦点を当て、どちらも買うことで分散効果を発揮すれば、資産運用としてより万全の体制を築くことができるでしょう。


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image by:Lisic / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年2月23日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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