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ソフトバンクグループ株に大異変、会社は存続しても孫さんはいなくなる?=今市太郎

大量保有報告書で孫さんの担保株追加差し入れが判明

しかし話題に事欠かないのがSBGです。

孫さんがこの2週間あまりで融資の担保として、同社株式1,010万株を追加で融資を受けている20社あまりの金融機関に差し入れていることも判明し、孫さんが金融機関からの融資の担保としているSBG株は2億2,700万株、時価ベースでは8,700億円相当となったことが判明しました。

今回差し入れた1,010万株(およそ400億円相当)は、いわゆる追証にあたるもので、SBG株が2,500円に近づくと株の担保が不足してしまうことも市場に明らかになってしまったことになります。

孫さん自身はまだ時価で1.3兆円程度の株を保有していますから、こうした状況でも特段大きなリスクがあるわけではありません。

しかし、追加担保として差し出しても時価総額分丸々が融資されるわけではありませんから、ここからさらにSBG株が大きく下落して株の担保価値がなくなれば、孫さんは残りすべてを差し入れるか、担保株券を失うことになりかねず、結構クリティカルな局面に差し掛かっていることが明らかになってきているのです。

オーナー自らの支配権維持のために資産売却、自社株買いは許される?

簡単に書きますと以上のようなことが起きたわけですが、この話にはさらにおまけがあります。

3月25日にムーディーズが同社の格付けを「Ba1 → Ba3」へ、平たく言えば典型的なジャンク債に引き下げたことから、「ムーディーズの格付けの取り下げについて」という怒りのリリースを公表し、大喧嘩の様相を呈することとなったのです。
※参考:ムーディーズの格付けの取下げについて(PDFファイル) – ソフトバンクグループ株式会社

この格下げ話は確かに余計なものとなっているわけですが、SBGはアーム、スプリント、ビジョンファンド、携帯のソフトバンク、そして中国アリババという企業の保有株式を31.1兆円維持しているわけですから、すぐに経営が危ないという状況にはないことは明らかです。

しかし、自社の株価を維持するためだけにそのうちのどれかは不明でも4.5兆円分を売却し、2.5兆円あまりは借金返済に充てて、残りの2兆円を自社株買いしますというのは、究極の株主還元のように見えますが、最も得しているのは孫さん自身で、経営支配権を維持し、金融機関に差し出している株の担保価値を維持するためにやっているとしか見えません。

この点はコーポレートガバナンスという視点から見ても、相当おかしな話と言わざるをえません。

たしかに、孫さん支配による企業としての存続ははかれるのでしょう。

しかし、4.5兆円もの保有資産をさっさと売却しても、(当座の資金繰り的には都合はいいかもしれませんが、)企業活動としてはなんの価値もないもっぱら帳簿上で株とカネをこねくり回す作業にしかなっていないことが非常に気になるところです。

Next: 過去には借金をして土地を買い、その価格が上昇したことをレバレッジに――

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