サムスン電子の株を買うブーム到来
韓国のKOSPIにおける時価総額の2割はサムスン電子だと言われているわけだが、サムスン電子の株は従来、多くの外国人・機関投資家によって支えられてきた。
ところが、新型コロナウイルスで韓国市場から、サムスン電子株の投げ売りが始まった。
それをチャンスと捉えて、サムスン電子の株を購入し出したわけだ。
もちろん、その行動は投資の視点からは理にかなっている。韓国経済が破綻しても、サムスン電子は生き残れるだろう。
問題はそれがなぜか、一大ブームになっているところだ。
そして、外国人投資家が連日投げ売るのを、逆に個人投資家が「購入」して対峙する動きは、まさに国を救う「国士」のように賞賛されていく(おかしいというのはこの際、置いておいて欲しい。いちいち突っ込んでいたら終わらない)。
そして、いつしか「東学アリ運動」と呼ばれるようになる。
「今から136年前の1884年、反封建・反侵略を掲げて農民が蜂起。このときの社会改革運動は『東学農民運動』と呼ばれる」とJBpressに書いてあるが、とにかく、こうして「東学アリ」は爆誕したのだ。
どうやら、韓国では株に投資する個人投資家は非力だが、数が多いので「アリ」と呼ばれているそうだ。
借金してまでサムスン電子株を買う「東学アリ」たち
だが、普通に考えて個人投資家が外国人・機関投資家に勝てるはずがない。資金力や情報収集力に雲泥の差があるからだ。
しかし、アリには秘密兵器があった。資産不足を補う究極の方法、それは「信用買い」である。つまり、借金してサムスン電子の株を購入していたわけだ。
彼らはSNSで「2021年のサムスン電子株主総会は光化門広場で開かれる」「その心は、韓国のほとんどの人たちがサムスン電子の株主だから」という。
以上、これが韓国市場における新しいファクターである。
経済や株、投資が好きな人にとっては、ものすごく楽しめるニュースじゃないだろうか。私もこのニュースを読んで、来週以降が楽しみでならない。
アリはどこまで外国人・機関投資家と戦って勝利を勝ち取ることができるのか。
韓国企業の業績大幅下方修正で、外国人の投げ売りの勢いはこれからも増していく。それを支えるアリたち。
「KOSPI1500割れ」からの予想外のシナリオに、私は驚きを禁じ得ない。映画化してもいいと思う。パラサイトよりも面白そうだ。