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いよいよ迫る百貨店終焉時代。アパレル大手「オンワード」の大量閉店で伊勢丹なども窮地に

アパレル大手のオンワードホールディングスの今年2月期の決算が521億円の最終赤字になったことを日本経済新聞NHK などが報じた。

売上は2482億円と前年を3.2%上回ったものの、暖冬の影響などで冬物衣料の販売が落ち込んだことに加え、希望退職者の退職金や国内外での不採算店舗の閉店、そこにコロナショックに伴う損失計上が重なり、営業損益は通期ベースで初の赤字となったという。

オンワードは今年2月期にも国内外の約700店舗を閉店したが、2021年2月期までにさらに約700店を閉店することを決定。2019年に構えていた約3000店舗のうち半数近くの店舗を閉めることになる。

日本経済新聞は、オンワードの大規模閉店と赤字転落の本質的な原因は、新型コロナウイルス感染症の拡大ではなく、「構造的な費用負担の大きさ」にあり、特に百貨店店舗などでの人件費や運搬費などの「販売費」が利益を逼迫させていると伝えている。

「従来通りの運営では収益を生み出せない。ネット通販を強化し、客の利便性を考えた店舗運営の在り方を考えたい」という保元道宣社長の話をNHK が紹介しているが、百貨店等実店舗での販売を主体としたこれまでの高コスト体質の見直しに、本格的に取り組むということだろう。

日本経済新聞は同社が電子商取引(EC、ネット通販)の拡大と事業の多角化を目指し、ライフスタイル事業での「M&A(合併・買収)を検討する」(保元社長)意向であるとしている。

新型コロナウイルス感染症の拡大により休業を余儀なくされている百貨店業界だが、オンワードのようなアパレル大手の撤退が続けば、存続が危ぶまれる事態にもなりかねない。オンワードの各店舗での今月の売上は12日までで前年に比べて70%落ち込んでいるが、2月に立ち上げたEC限定ブランドの売上は好調だという。

販売費を抑えられ、緊急事態でもそれほど影響を受けないネット通販と比べられた際、どこに自らのバリューを出して行くのか。アパレルが次なるビジネスを模索する中、百貨店業界は頭を悩ませているだろう。

三越伊勢丹ホールディングスが休業前の4月1日に発表した売上速報は、前年と比べ厳しい数字を示している。8日からの食品フロアを除く全館休業が、百貨店側のみならずテナント側の売上にも甚大な影響を及ぼすことは必至だ。コロナがテナント離れを加速させることも考えられるだろう。果たして、三越伊勢丹など百貨店はどう生き残りをかけていくのだろうか。

Next: 「百貨店でモノを売る時代ではない」「大変革の時」ネットの反応

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