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自己責任・努力次第は嘘。若者たちはコロナ禍で大半が貧困に突き落とされる運命=鈴木傾城

ゆっくりと確実に貧困に足を突っ込んでいく状況に

正社員で雇われた人たちは「自分たちは勝ち組だ」と特権意識を持つようになっていったが、日本企業の業績がさらに悪化していくと状況は変わった。

勝ち組だったはずの正社員も年功序列も終身雇用も否定されるようになっていき、経営悪化が鮮明になった企業からどんどん社員をリストラするようになったからだ。

折しも2009年から民主党の時代になって日本の混乱は史上最悪のレベルにまで転がり落ち、ますます日本企業は萎縮し、経営は悪化し、グローバル社会の中で競争力を失っていった。

以後、日本社会には格差がゆっくりと広がって定着し、これは第二次安倍政権でも是正することができなかった。安倍政権は金融緩和によって企業や株主や経営者には経済的な恩恵を与えたのだが、社会の底辺に広がる非正規雇用者の貧困にはほとんど関心を見せなかったのだ。

時代が悪ければ「どん底」に落ちる。そして、どん底に落ちた人たちは最後の最後まで救済されずに見捨てられる。

自分の知能では乗り越えていけないような環境

社会が高度成長に向かっている時は、どんな凡人でも豊かさを享受できるようになる。

逆に社会が景気後退期(リセッション)に向かっている時は、どんな優秀な若者でも貧困にあえぐようになっていく。

優秀であれば社会がどんなに悪くなっても要領良く生きて豊かになると思われがちだ。しかし、イギリスのジャーナリストであるマルコム・グラッドウェル氏は知能指数の高い人々を調べた結果、必ずしもそうとは限らないと指摘している。

神童と呼ばれていた子どもが成人しても、凡人以下の貧困生活に落ちている人たちがいる。彼らは高度な知能を持ちながら、社会では落ちこぼれた。

その理由は、親の貧困を受け継いだり、学歴が得られなかったり、家庭環境が崩壊していたりして「知能を発揮できる環境」が最初からなかったからだった。

虐げられ、家庭でも冷遇され、社会からも見捨てられた子ども時代を送ると、知能を社会的な成功に向けようとする努力さえなくなってしまうのだ。

社会的な成功に意味を見出せなくなり、場合によっては社会から背を向けて生きるようにもなっていく。成功する素質はあっても、子ども時代や自分を取り巻く社会環境が不幸なものであれば知能は生かせない。

自分を取り巻く社会環境が悪すぎれば、成功しようという気持ちそのものが早い段階から台無しにされる。

コロナ禍の地獄が社会を覆い尽くそうとしている今、これから何が起きるのかは明白だ。

これからはコロナ禍によって社会環境が極度に悪化してしまい、何をどうしても自分の能力だけでは這い上がれない時代が来る。これから社会に出る若年層は「どん底」に突き落とされる確率が相当高まっていくことになる。

Next: バブルが崩壊した1990年代以後の若年層は、日本社会が景気後退を深めれば――

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