日本でも「複合的に」最悪の事態が起こった
大恐慌は、最初はアメリカから始まったものではありましたけれど、1930年当時の日本の状況もまた今と似ているものでもありました。すなわち、「もともと経済が脆弱になり始めているところに襲ってきた恐慌」という点が似ています。
日本は、第一次世界大戦の戦勝国の1国となったものの、その後の恐慌、関東大震災、昭和金融恐慌によって弱体化していた日本経済は、世界恐慌の発生とほぼ同時期に行った金解禁の影響に直撃され、それまで主にアメリカ向けに頼っていた生糸の輸出が急激に落ち込み、危機的状況に陥る。
株の暴落により、都市部では多くの会社が倒産し就職できない者や失業者があふれた。恐慌発生の当初は金解禁の影響から深刻なデフレが発生し、農作物は売れ行きが落ち価格が低下した。
1935年まで続いた冷害・凶作、昭和三陸津波のために疲弊した農村では娘を売る身売りや欠食児童が急増した。
1935年に公共土木事業が打ち切られ、生活できなくなり大陸へ渡る人々も増えた。
これを読みますと、大恐慌の時の日本では、関東大震災などの自然災害も相次いだようで、いつの世でも、「複合的に来る」ものなのだなと思います。
コロナ被害はほぼすべて業種に及ぶ
なお、今回のアメリカで影響を受けている業種に関しては、当初は、観光、飲食、レジャーなどのセクターに集中していましたが、その後、ほぼすべての職種に広がっています。
5月8日の時点で、おおむね以下のようになっていると報じられています。
■アメリカの職種別の失業数
・レジャーと娯楽産業:失業数765万3,000人
・教育および医療サービス:失業数250万3,000人
・小売業:失業数210万6,900人
・専門サービス等:失業数212万8,000人
・ヘルスケアと社会支援業:失業数208万6,900人
・製造:失業数133万人
・建設:失業数97万5,000人
・情報:失業数25万4,000人
・金融:失業数26万2,000人
・輸送および倉庫:失業数58万4,100人
この図式が、今後の日本に当てはまるということではなくとも、ある程度は似た状況となってくる可能性はあると思われます。
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