不可解なグループ間取引
山東如意は、度重なるM&Aにより借入金が増大し、米中貿易戦争の影響もあり、資金繰りが苦しくなっていると言われています。
前述の通り、当初山東如意と親会社の済寧如意で、レナウンに対して約69億円の資金を投じているが、売掛金に見せかけた取引で53億円を山東如意の子会社の恒成国際発展に還流させ、資金回収を図ったのではないかと考えています。
その資金をグループの資金繰りに使うために、このような取引をおこなったのではないでしょうか。
中国企業との取引では、このような資金還流とか不可解な取引が起こりがちです。
LIXILは、中国の孫会社で粉飾決算が発覚して660億円もの特別損失を計上することになりました。
また江守グループホールディングスは、中国現地法人の暴走(粉飾決算や売掛金の回収不能)で経営破綻に追い込まれました。
中国企業との取引については、十分な注意が必要ですが、注意していてもこのような事件は定期的に起こっています。
コロナ以前からの「チャイナリスク」
これは一種のチャイナリスクと言えます。
中国企業との間で、中国での取引で先方の不正等により損失が生じたとしても、訴訟しても勝ち目はありません。残念ながら、そのような法治体制になっている国ではないからです。
それでも人口が世界最大であり、市場規模が大きい中国に企業は参入したいと考えます。
ただし、繰り返しになりますが。中国での取引は正確に履行されるという保証がありませんし、法的手段に訴えても勝ち目がありません。
そのリスクを承知で行わなければいけないということです。
レナウンの場合は、取引だけでなく資本についても中国資本になったのですが、親会社である山東如意の調子の良い時は良かったものの、親会社が資金繰りに苦しくなると、上記のような、かなりグレーな取引をやらされるということになったわけです。
ちなみに今年の3月の株主総会でレナウンの取締役会が出した取締役の選任案に対して、動議を行い山東如意側が選んだ取締役が選任された経緯があるようです。