ナスダックが連日最高値を更新するなど、株式市場は非常に強い値動きを続けています。一方で、為替はというと米国株の強さとは対照的にドル安傾向が続いています。今日は月に1度のお祭りイベントですが、果たして流れは変わるのか、注目点などと共に解説していきたいと思います。(FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)
ドル安の背景はユーロ高にあり
基本的に為替市場におけるドル安の流れというのは変わらないでしょう。背景には、ここ最近のユーロ高が大きく影響していると言えます。
ここ数年間というのは、米国経済のパフォーマンスが圧倒的で、欧州は米国に劣るというのがコンセンサスとなっており、過度にユーロが売られ続けてきました。
しかしながら、米国でコロナの感染拡大が続いていることによって、欧州よりも回復に時間がかかるのではないか、という見方が支配的になりつつあること。
さらに、欧州ではコロナ救済・復興基金が創設されて大規模な景気刺激策への期待感も重なって、一気にユーロの見直し、買い直しが進んでいます。
特にEUの復興基金に関しては、実質的な財政統合へ向けての画期的な取り組みと言えるでしょう。
EU各国における経済格差から、イタリアを中心にEU懐疑論・離脱機運が高まっていましたが、これによって一時的には落ち着くことが期待されています。
このように、コロナの感染拡大で欧州経済が米国経済に劣るという見方が変わりつつあること、復興基金の創設による景気刺激に加え、EUの安定化期待がユーロ買いからのドル売りを誘発する流れとなっています。
したがって、現段階ではEUの主要国であるドイツやフランスなどでコロナの感染が拡大するなど、ユーロを買いにくい致命的な材料が発生しない限り、緩やかなドル安が続くことを想定しています。
トランプ大統領は超強気だが、不安しかない先行指標
先日、トランプ大統領が「big number coming out Friday on jobs(金曜日の雇用統計は凄い数字になる)」と発言したと報じられたことで、株式市場を中心に雇用統計に対する期待感が高まっています。
その一方で、先行指標はかなり不安の高まる数字が並んでいます。
特に伸びの鈍化の大きいADP雇用報告に関しては、前月の6月分が速報値の+236.9万人から+431.4万人と大幅に上方修正されたことも影響しているのでしょうが、それにしても前月から10万人少々しか雇用者が増えていないというのは、かなり衝撃的な結果と言えるでしょう。
米国では6月中旬から下旬にかけて急速に新規感染者数が拡大し、7月に入ると大半の州で一部経済活動が制限されましたから、このことが押し下げ要因となったことは疑いようがありません。
トランプは強い数字が出ると予告していますが、非農業部門者数の事前予想値である+158.0万人を大きく下回るような結果が出る可能性も十分検討した上でトレード戦略を考えいきたいところでしょう。
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