「敏捷な統治」という概念
「敏捷な統治」とはピンとこない概念だ。はっきり言って、なにを言いたいのか判然としない。あえてイメージをぼかした言葉を使っているのだと思う。
しかし、その内容は極めて明確だ。ビッグデータ、AI、ロボット、そしてブロックチェーンなどの先端的なITテクノロジーを徹底的に駆使して、社会問題が発生する前にそれらを予期し、事前に対処してしまう体制のことだ。
そして、ここで「統治」という言葉が使われている理由は、この方法が国民を支配し、国家を統治する方法として考えられているからにほかならない。
つまり、高度なテクノロジーを最大限活用した新しい統治形態と管理のシステムのことだ。
「敏捷な統治(Agile governance)」という論文
この概念は、当メルマガの記事で将来やってくることを幾度も警告している高度管理社会のことであろう。それは間違いないと思う。
では、「ダボス会議」は彼らが「敏捷な統治」と呼ぶ高度管理社会を具体的にどのようなものとして構想しているのだろうか?
実はその全体像とおぼしきものは、やはり「ダボス会議」が出した「敏捷な統治 第4次産業革命において政策立案を再形成する(Agile Governance Reimaging Policy-making in the Fourth Industrial Revolution)」という論文に示されていた。
そして重要なのは、この論文が発表された時期である。それは2018年1月であった。つまり、新型コロナウイルスのパンデミックが起こる2年近くも前に発表されていたのだ。
これは、リセット以後の統治機構のデザインはすでに2年以上も前に大枠ではすでにできあがっていたことを示している。
逆に見ると「ダボス会議」は、新型コロナウイルスのパンデミックを「敏捷な統治」を導入するための絶好の機会として使ったのかも知れない。
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「未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ」(2020年10月29日号)より一部抜粋・再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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