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天下り「学校給食会」の5500万円中抜きに批判殺到も、他地域の子の給食はより貧相に?福岡市の直接購入は英断か拙速か

福岡市が、これまで福岡県学校給食会を通して購入していた学校給食用の米飯・パン・牛乳の基本食品3点を、本年度から食品業者からの直接購入に切り替えたところ、年間約5,500万円の購入費削減となる見込みであると地元紙の西日本新聞が報じ、大きな反響を呼んでいる。

報道によると、現在福岡市では市内にある小中学校と特別支援学校の児童・生徒、約12万人に給食を週5回提供しており、2019年度の上記3点の購入費は約25億4,000万円かかっていたという。

ところが、同市が食物アレルギーへの対応を強化するにあたり、アレルギー原因となる食材を使わないパンに切り替えて欲しいといった要望になかなか対応してくれないなど、県給食会の画一的な対応にかねてから不満があったとのこと。さらに購入費削減にも繋がることから、直接購入への切り替え準備を数年前から進め、20年度からは発注・契約・料金の請求・支払いは全て市と食品業者の間で行うようになったという。

ちなみに福岡県学校給食会における学校給食用食品の売上高のうち、福岡市の上記3点分が約23%を占めていたとのこと。同給食会のトップである理事長は、県教育庁OBの天下り先となっているようだが、今回の福岡市の“離脱”が会の事業や運営に大きな影響を与えるのは必至で、理事長報酬の見直しも検討中だと報じられている。

ネットで渦巻く「学校給食会不要論」

今回の報道に対し、ネット上では様々な反応があがっているが、「こんな組織知りませんでした」といった声も多い。

各都道府県にあるという学校給食会を束ねる全国学校給食会連合会、略して全給連のサイトに記載されている設立の経緯によると、学校給食用物資を各都道府県内の給食実施校に供給する機関として、学校給食法が制定された昭和29年以降に、各都道府県の教育委員会から認可を受けて設立された団体で、米・パン・脱脂粉乳・輸入牛肉・その他の物資について買入れ、売渡しの業務などを担っていたという。「脱脂粉乳」というところに歴史を感じさせるが、当時は戦後の食糧難はすでに過ぎ去った時期だったとはいえ、安全な学校給食用物資を安定的に供給するためには、必要不可欠な団体だったようだ。

ただ食糧事情が改善され、学校給食用物資の確保や供給がまったく大きな課題ではなくなった近年では、「学校給食における食育」が事業の柱となっている模様。今回問題となった福岡県学校給食会が定期的に刊行している広報紙「給食福岡」の最新号Vol.98を見ても、表紙や冒頭企画など多くを食育の話題に割いている。

このように設立当時の頃と比べると、現段階ではその存在意義が正直なところあまり感じられない学校給食会。それにくわえ今回の報道によって、大量の学校給食用物資を継続的に購入しているにもかかわらずスケールメリットがないどころか、離脱した福岡市は逆に安くあがってしまい、さらに食育を謳っておきながら食品アレルギーへの対応はとにかく鈍かったことも判明。同会が天下り先だったことも相まって、ネットでは「学校給食会不要論」が渦巻く格好となっている。

また、今回の福岡市の動きは全国的に波及しそうといった見方もあり、実際に一部の地方議員のなかには、自らの自治体に問い合わせをおこなった方も。さらに河野行革相に対して、「学術会議じゃなくて給食会を行革すべし」と訴える意見もあった。

福岡市が削減した約5,500万円の正体とは?

今回の報道で、その存在理由をバッサリと否定される形となった学校給食会だが、一部には擁護する意見も。問題としているのは、今回の福岡市が離脱したことで、その周辺の市町村にしわ寄せが来るのではという点だ。

とくに興味深いのが、 学校給食コミュニティサイトを運営されているという方による一連のツイート。それによると、先に述べた学校給食用物資の安定供給という役割を担う学校給食会には、学校の場所を問わず給食を同じ品質・同じ価格で提供するという使命があり、例えば立地によって配送料が異なる場合でも、それを調整して価格を平準化する役割を担っているとのこと。ある意味“互助会”的な感じだが、都市部にある自治体からすると「自前で調達すればもっと安くなる」といった状況になるという。

要は福岡市が削減に成功した約5500万円というのは、県内全域における給食の安定供給を目指した価格平準化のために、これまで福岡市が負担していた金額も多少は含まれているというわけだ。

いっぽう、静岡県富士市で学校に給食用のパンや米飯を提供していた「富士製パン」が、来年3月で給食事業から撤退することを先日表明するなど、学校給食向けのパン製造や炊飯事業を担っていた業者の事業撤退、あるいは廃業というのも全国的に増えており、その埋め合わせをどうするかで苦慮する自治体が最近多いという。ツイート主は「気になるのは福岡市以外の設置者が安定供給を受けられるか、です。それらの市町村が福岡市脱退の煽りを受けて購入価格が上昇したら困ります。」と記している。

今後は福岡県のみならず、全国的にも取沙汰されていきそうな「学校給食会」存続の是非。ただ「中間搾取」「天下り先」ということで廃止の方向へと持っていくにしては、現在の学校給食を取り巻く周辺環境の悪化はかなり著しく、慎重な議論が必要となりそうだ。

Next: 「他の自治体でもうまくいくとは限らん話だよな」

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