昭和の時代に天才超能力者としてお茶の間を震撼させたユリ・ゲラー氏が、「ポケモン」と約20年越しの和解を果たしたことが話題となっている。
報道によると、2000年に「ポケットモンスター」のポケモン「ユンゲラー」が、自身のイメージから盗用されているとして、任天堂を相手取って使用禁止を求める訴えを起こしていたユリ・ゲラー氏。ユンゲラーといえば、いわゆる「ねんりきポケモン」の一種で、その手には銀色のスプーンが握られている。確かにそのネーミングにくわえて念力の能力、さらに手には「スプーン曲げ」を想起させるスプーンとあれば、まさしくユリ・ゲラーから連想されたものなのは明らかだろう。
ユリ・ゲラー氏は、ユンゲラーが頭痛を引き起こす存在であることや、また腹部に描かれたマークがナチス親衛隊のものと似ていることなどを挙げて、これらが自身のイメージ悪化に繋がっているとして、アメリカ・ロサンゼルスにて約100億円の損害賠償を求めて提訴。ただ、その訴えは当地での訴訟の要件を満たしていないとされて、敗訴になっている。
そもそも、ユンゲラーという名を使っていたのは日本国内だけで、海外では「Kadabra」という名が使われているから、というのもあったようだが、とはいえそれ以降も任天堂は、ユンゲラーという名の用いた商品の展開を控えるなど、ユリ・ゲラー氏と任天堂の間にしこりが残る形となっていた。
ユリ・ゲラー氏本人がTwitterで宣言
当時、大いに話題になったユリ・ゲラー氏の訴えだったが、その後は20年に渡ってこれといった進展はなかったように見られた。ところがここに来て突然、ユリ・ゲラー氏は自身のTwitterを更新し、ユンゲラーの名称使用禁止の要請を取り下げたと発表したのだ。
I am truly sorry for what I did 20 years ago. Kids and grownups I am releasing the ban. It’s now all up to #Nintendo to bring my #kadabra #pokemon card back.
It will probably be one of the rarest cards now! Much energy and love to all!https://t.co/Rv1aJFlIKS pic.twitter.com/5zDMX5S8WA— Uri Geller (@TheUriGeller) November 28, 2020
ユリ・ゲラー氏はさらに、動画付きのツイートも公開。
I never realized how powerful and important it was for me to lift the ban on Yungeller/Kadabra, especially for all the kids around the world!
I'm sorry for what I did 20 years ago, but you can learn from mistakes even more than you can learn from success!#kadabra #pokemon pic.twitter.com/3YuxrUHzgq
— Uri Geller (@TheUriGeller) November 29, 2020
ユリ・ゲラー氏が20年間開いていなかったという古いトランクを開けると、その中からは当時発売されていたユンゲラー(や、その進化元のケーシィや進化先のフーディン)のグッズがザクザクと。これらは20年前の訴訟の際に、証拠として使ったものだという。
またユリ・ゲラー氏はツイート内で、過去の訴訟騒ぎを謝罪するとともに「おそらく今では最も希少なカードの1つになるでしょう!」と、恐らくジョークと思われるコメントも。すでに任天堂側にも、禁止を解く旨の連絡を入れているという。
「どうせ金目当て」という辛辣な声も
今回のユリ・ゲラー氏の発表に対して、ネットからは「無許諾でパロディされたのに許してくれてありがとう」といった、好意的な声が多くあがっている
ユリ・ゲラーさん、無許諾でパロディされた被害者なのに許してくれてありがとう。最近、歴史の偉人や有名人のネタを利用した商品が多いけど、ネタ元の本人・関係者の生存期間中はこういうことが起こりやすいから仁義はきっちりとね。 https://t.co/JlzexunI7h
— 沙雙 (@natu_saso) November 30, 2020
また、「ポケモンの名前って結構適当だったんだな」という声も改めてあがる結果に。また今回と同様な問題として、サワムラーの元ネタになっているとされるキックボクサーの沢村忠氏や、同じくエビワラーの元ネタとされるプロボクサーの海老原博幸氏には、ちゃんと仁義を切っているのだろうかと心配する意見もあった。
ユリ・ゲラーさんの
訴訟の話で、
ユンゲラーの語源が
ユリ・ゲラーだって
今、気付きました😳ケーシィは霊能者。
ユンゲラーはユリゲラー。
フーディンはマジシャン。ポケモンの名前って
結構適当だったのかな?151匹も考えてらんねぇ!って
感じだったんでしょうかね。— のうてんパイラー🎮東北の趣味人。釣り好き、鳥好き三十路。 (@NotenPaira) November 30, 2020
いっぽうで、ユリ・ゲラー氏の20年間にわたる訴えに対して、「どうせ金が目当てだったんだろ」といった辛辣な意見も。昨年末に発表されたキャラクターのメディアミックス総収益の世界ランキングを見ても、ポケモン関連は約10.1兆円と、ミッキーマウスやスターウォーズなどをおさえてナンバーワンとなるなど、長きに渡って儲け続けている印象があるだけに、それを狙ったと訝しむ向きも多いようだ。
ユリ・ゲラー、単に任天堂から金を引っ張りたかっただけでしょ。
— 多重人格探偵 rtm007 (@rtm007) November 29, 2020
ユリ・ゲラーを善い人に見過ぎ。超能力パフォーマンしで、スプーン曲げ程度じゃ、相手にされなくなって業界干されて金に困ってたから因縁つけたんだよ。
— がりゅう (@9aryu) November 30, 2020
「クロマティ高校はどうなった?」の声も
そんななか、同様の事例として思い浮かべる人が少数ながら存在したのが「クロマティ高校」の件である。
「魁!クロマティ高校」はまだクロマティが許可してないのに https://t.co/oq0E3Cga2G
— ろんぐて〜る(全部買い) (@rongtail) November 30, 2020
「魁!!クロマティ高校」は、週刊少年マガジンにて2000年から連載が始まり、その人気ぶりを受けて2005年には映画版「魁!!クロマティ高校 THE☆MOVIE」が公開されることに。ところが、それに対して元プロ野球選手のウォーレン・クロマティが、無断で名前を使用されたとして、公開中止を求めて提訴する騒ぎとなった。
結局映画のほうは、冒頭に字幕でクロマティ氏とは無関係であることを表示することで、公開にこぎつける格好に。クロマティ氏はその後も損害賠償を請求する民事訴訟を起こすとしていたが、その後はまったく音沙汰はない。
そんなクロマティ氏といえば、今年の6月に日本のファン向けにYouTubeチャンネルを開設。最近では11月下旬に、本人が現役選手だった頃に巨人の監督を務めていた王貞治氏との対談動画をアップし、16万回以上の再生数となるなどそこそこの人気を博しているようだ。
クロマティ氏も日本国内での活動に意欲的となれば、今回のユリ・ゲラー氏による「和解宣言」も当然耳に入るはず。となれば「クロマティ高校」の件も、雪解けに向けて動きが出てくるのか。今後の動向に要注目だと言えよう。
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