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なぜ菅内閣は雇用安定やコロナ対策を無視してデジタル化に邁進するのか?=斎藤満

旗振れど踊れない高齢者

消費者についても同様です。冒頭に紹介したテレビ視聴者の質問にもあったように、多くの人がいつまでこの我慢生活を続けなければならないのか、と思っています。

政府は「GoTo」トラベルはすでに延べ4,000万人以上が利用している、と胸を張りますが、ネットの調査では「GoTo」キャンペーンを使わない、という人が8割に上りました。

この2つの数字が意味するところは、一部の感染リスクを恐れない人々が複数回キャンペーンを利用して旅行したり飲食をしたりして「延べ人数」を増やしている一方で、ほとんどの人は感染を恐れてこのキャンペーンを使っていない、ということです。

特に高齢者は安く旅行するよりコロナ感染で命を落とすことを恐れています。

その点、菅総理と小池知事の会談で、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人は、しばらくの間「GoTo」キャンペーンの利用を自粛するように求めましたが、これは的外れです。

もともと重症化リスクが高いと言われている高齢者や基礎疾患を抱える人は、キャンペーンに乗っていません。

言い換えれば、彼らがキャンペーンの利用を自粛しても、それはこれまでと変わらず、感染抑制にも重症化抑制にもほとんど効果がない、ということです。

もし政府がその効果に期待しているとすれば、年末年始の大事な時期に感染が一段と拡大して、医療機関が混乱し、緊急事態宣言の発動を余儀なくされる懸念もあります。

不安の元を断つ

景気がコロナショックの最悪期からは回復したものの、企業も個人も先が読めない不安のために身動きが取れません。政府の雇用調整助成金も休業補償金も、一時的な痛み止めに過ぎません。最後はこの不安のもとになっているコロナ禍の収束を図るしかありません。

実際、台湾のようにこの200日以上も新規の感染者がゼロという状況を実現しているところがあり、中国本土も政府発表が正しければほぼ感染を克服し、経済の正常化が進んでいます。

感染を抑え込むところがある一方で、日本や欧米のように、第2波、第3波に右往左往しているところもあります。つまり、後者は対応を間違えた結果ということになります。

日本や欧米のように、ここまで感染が拡大してしまうと、台湾や中国流の防止策をとっても経済社会両面から負担がより大きくなります。

現に欧州では負担を覚悟のうえでロックダウンを取り入れているところもあります。不安のもとをただすという点で、1つの対応は感染を封じ込めることですが、日本は欧米と比べても対応が後手に回っています。

もう1つが、新型コロナという未知のウイルス故の不安に対して、ウイルスを研究し、そのワクチンや抗ウイルス薬を開発することで、国民の不安を和らげることができます。欧米でワクチン開発への期待が高まり、これが株高をもたらす面も見られるようになりました。その点、日本はワクチンの購入を欧米のメーカーに取り付けるのがやっとで、それもいつになるのか、安全性も不確かです。

日本にはインフルエンザ・ウイルスを発見し、抗ウイルス薬を開発してきた実績があります。アビガンもその1つですが、日本で利用が制限されている一方で、中国ではその後発薬を大量生産して輸出しています。

日本は医薬分野でこの不安軽減の道がありそうですが、政府、厚労省の対応に躊躇が見られ進んでいません。

Next: スガノミクスは後回しにすべき

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