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消防団員、出動時の服装を巡り“大量退団”。Tシャツ姿での出動に「傾奇いてるつもり?」「まずは現場に駆け付けるべき」とネット上も意見が二分

埼玉県入間市の消防団で、出動時の服装規定に対する不満が原因で、団員13人が一斉に退団するというトラブルに発展しているようだ。

市消防団や市によると、火災現場への出動時は防火服や活動服を着用することがルールとなっているが、この団員らは「昔と同じように自由な服装で出動させてほしい」と反発。実際に団員がTシャツ姿で現場に向かい、幹部が注意することもあったといい、最終的に意に沿わない規定を受け入れられないということで、13人が退団届を出したという。

団長は取材に対し、「活動を続けてほしかったが、ルールを守ってもらえないのであれば仕方ない」と話しているようだ。

大量退団した消防団員に「クソダサい!」との声も

常勤の消防職員とは別に、本業を別に持つ地元の一般市民によって、全国各地で構成される消防団。

団員は非常勤地方公務員という扱いで、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、消火活動・救助活動に従事する。ちなみにその報酬は、最も低い「団員」階級で“年額”平均3万円程度だという。

そんな消防団を巡る今回の騒動なのだが、13人という大量退団によって、彼らが所属していた入間市消防団第1分団第1部が、なんと“消滅”するという異常事態に。

その消滅理由というのが「自由な服装で出動させてほしい」という団員らの要望とあって、SNS上では耐火性の問題、あるいは現場で一般の野次馬と区別を付けるためにも、防火服や活動服を着用するのは当たり前ということで「火災現場にTシャツはダメだろ…」「本人達は傾奇いてるつもりかも知れないけど、側から見るとクソダサい!」などと、団員らの主張に真っ向から異を唱える声は結構多い。

ただ今回の報道に関しては、市や消防団の声は大いに反映されているものの、退団した団員らに対しては取材を行っていないのか、自由な服装で出動したいと団員らが要望を出した“真意”は、記事からは正直図りかねるといったところ。

そのためSNS上では、別に防火服や活動服を着るのが面倒、あるいはダサいから嫌だということではなく、別の理由があるのでは……といった声もあがっている。

例えば、職場や外出先などで出動することになった際に、防火服や活動服が置いてある自宅まどに戻っていたのでは、現場への到着が遅れ初期消火活動にも差支えがあるため、まずはとにかく駆け付け、現地にて防火服や活動服に着替えたうえで、活動に従事するといったことを認めてほしいと訴えているのでは……という“説”も、大いに取沙汰されているようだ。

実際、別の地域の消防団では、車両付近に降ろされた防火服一式を2分以内で着るという訓練を、最近になって始めた……との話もあがっているよう。そういうこととなると、より現実的な現場運用を求める団員らと、あくまで旧来からの決まりを厳守するよう強いる消防団の上役らとの対立という構図も、浮かび上がってくるところである。

消防団を辞めたいための“口実”との見方も

しかしながら、それ以上にSNS上で取沙汰されているのが、服装云々の話はあくまでもトリガーで、そもそも消防団の活動自体に不満を限界を感じていたのでは……という説。

消防団の活動に関しては、火災などの発生時の出動は当然としても、毎年全国規模で行われる消防操法大会に向けての練習、さらには研修会や歓送迎会などが度々催されるなど、その身体的かつ時間的な負担は相当なものなのだが、それでも報酬は先述の通り年額で3万円程度というまさに雀の涙。

しかも、本来は“任意”であるであるはずの研修会や歓送迎会への参加を「仕事を休んででも来い。命令だ」などと強いられ、自らの本業に差し障りが出るといったケースが各地で頻発しているともされ、そういったことも若い層を中心とした消防団への忌避感情につながっているとも。

実際、全国で消防団員は減り続けているといった状況で、昨年12月の報道によれば、2022年4月1日時点の消防団員数は前年比2万1,299人減の78万3,578人と、初めて80万人を割り込んだとのこと。条例で定めた消防団員の定数に大きく足りないという自治体も多いようで、しかも活動の中心を担うことを期待される20~30代の入団者が減っていることから、団員の高齢化も著しいというのだ。

今回の件は、先述の通り団員側の本音が伝わって来ていないため、問題の本質は捉え切れないといったところなのだが、結果的には下部団員が上役との軋轢で辞めていくという、全国の消防団で起こっていることの“縮図”といった出来事だったとは言えそうである。

Next: 「批判しているのは消防団経験の無い人たちばかり」

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