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伊藤忠はなぜデサントを敵対的TOBするのか?発表IRから読み取る、その理由とは

先月末、伊藤忠<8001>子会社による、デサント<8114>株式に関する公開買付け(TOB)が発表されました。どのようないきさつか、伊藤忠の言い分を詳しく見てみましょう。(『元証券マンが「あれっ」と思ったこと』)

伊藤忠が、子会社によるデサント株式の公開買付けを発表

デサントの主張

先月末、伊藤忠<8001>子会社による、デサント<8114>株式に関する公開買付け(TOB)が発表された。

・本TOBの公表は、当社取締役会に対して何らの連絡もなく、また事前協議の機会も無いまま、一方的に行われたもの

・当社としては、今後、本TOBに係る公開買付届出書等の内容その他の関連情報を精査した上で、速やかに当社の見解を公表する予定

・株主の皆様は、当社から開示される情報に十分ご留意いただき、慎重に行動していただきますようお願い申し上げる
※参照:株式会社デサント 伊藤忠商事株式会社による当社株式の公開買付けに関するお知らせ

伊藤忠の主張

・近時の対象者のコーポレート・ガバナンス体制を含む経営体制や経営方針に問題があり、その結果、対象者の今後の企業価値向上が疑問視されると判断するに至った

・そのため、伊藤忠グループとしては、対象者の更なる企業価値向上のためには、これまで以上に伊藤忠商事グループと対象者との資本関係を強化し、経営体制の見直し及び健全なコーポレート・ガバナンスの再構築を行い、対象者の成長戦略及び施策について伊藤忠グループと対象者とが建設的に協議を行える協力関係を構築する必要があると判断した

・そして、対象者の経営体制及び経営方針の見直しについて、対象者の現経営陣に対してより具体的な提案を行うとともに、対象者の関係者(対象者の株主、役職員、取引先等)との間で協議を行い、対象者の企業価値向上に向けた施策について、真剣に見直す必要があると考えた
※参照:伊藤忠商事株式会社 株式会社デサント株式(証券コード:8114)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ

<伊藤忠グループが対象者株式を買い増すことが望ましいと判断した背景>

1)対象者に対してより具体的な提案を行うのであれば、対象者の経営についてより責任を持つべく、対象者株式を一定程度買い増すことが望ましいと考えられること

2)他方で、優れた企画・開発力を有する対象者の社員の方々に、今後もその能力を最大限に発揮していただけるよう、対象者の独自性を維持する観点からは、現段階では対象者を子会社化することまでは必要ないと考えられること

3)対象者の経営体制及び経営方針が見直された場合には、対象者の企業価値は向上し、対象者株式の投資価値も向上すると考えられること

<TOBとした背景>

・近時の対象者の株価動向や市場環境等を総合的に考慮のうえ、株価によっては対象者株式の売却を希望される対象者株主の皆様に対して適切な売却機会を提供するために、直近の市場株価に対して適切なプレミアムを付した価格でのTOBが、伊藤忠グループによる対象者株式の買い増し手続の透明性を確保するとともに、一般投資家の皆様にもご理解いただける方法であると考えたため

<TOBの買付予定数の上限を40%にした背景>

・法令上買付予定数の上限を具体的に定める必要があることから、伊藤忠グループの考え方にご賛同いただける対象者株主の見込みの観点や、対象者の優秀な社員の皆様の能力や高いブランド力を十分に発揮できるような経営の独立性の確保という観点を総合的に考慮

Next: 伊藤忠がTOBに踏み切った、主な理由とは?

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