発展途上国に逆戻りする日本。安倍政権下で5%以上下がった実質賃金=三橋貴明

厚労省が11月9日に発表した9月の実質賃金(速報値)は前年同月比0.5%増で、3ヶ月連続のプラスとなりました。しかし第2次安倍政権発足以降で見てみると実質賃金が5%以上落ち込んでいる事実はあまり大きく報じられません。

これについて作家の三橋貴明さんは、「最終的には実質賃金が上昇するか生産ができなくなるかのどちらかに行き着く」としたうえで、「現在の安倍政権の政策が継続する限り、日本国民の実質賃金は上がらず、日本の発展途上国化は避けられない」との見方を示しました。

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2015年11月10日号より
※本記事のタイトル・リード文・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

「最も国民を貧しくした政権」への道を突き進む安倍政権

第2次安倍政権発足以降、実質賃金は5%以上の落ち込みに

9月の実質賃金(速報値)が発表されました。

厚生労働省が9日に発表した9月の毎月勤労統計調査(速報)によると、賃金の伸びから物価の上昇率を差し引いた実質賃金は前年同月比0・5%増と3か月連続でプラスとなった。

実質賃金が増えたのは、基本給などの所定内給与が同0・4%増の24万538円と7か月連続で増加していることが大きい。厚労省は「春闘のベースアップによって所定内給与が堅調で、今後も実質賃金はプラスが続くとみられる」としている。残業手当などを含めた労働者1人当たりの平均賃金を示す「現金給与総額」も、同0・6%増の26万5527円となり3か月連続でアップした。

一方、今年の夏季賞与(ボーナス)は前年比2・8%減の35万6791円にとどまった。<後略>
出典:実質賃金、3か月連続増も…夏のボーナスは減少 – 読売新聞(2015/11/9)

わたくしが重視している「きまって支給する給与」の指数と対前年比を見てみましょう。

日本の実質賃金指数(きまって支給する給与)の推移

日本の実質賃金指数(きまって支給する給与)の推移

3ヶ月連続で対前年比のプラスになったとはいえ、何しろ第2次安倍政権発足以降、実質賃金は5%以上も落ち込んでいるのです。これを取り戻すのは、現状の上昇率では相当に長い時間が必要になります。

それにしても、消費税増税のインパクトはすごいです。2014年4月からの1ヶ月で、実質賃金は3%強も落ちました。すなわち、消費税増税による物価上昇分は全く吸収できなかった、という話でございます。

野田政権期の「停滞」の再来

さらに重要なポイントは、実質賃金を計算する際の物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が「下がってきている」という点です。

持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数の推移(対前年比%)

持ち家の帰属家賃を除く総合消費者物価指数の推移(対前年比%)

グラフの2014年4月の急上昇は、もちろん消費税増税分ですが、その後は勢いをなくし、直近ではわずか0.1%にまで落ちてしまっています。

本来、デフレ脱却とはミクロ面でいえば、「物価が(2%程度で)安定的に推移し、それ以上に名目賃金が上がり、実質賃金が上昇する」とならなければなりません。

とはいえ、現実には名目賃金の上昇ペースは遅々としたままで、物価の方が上昇率がゼロに近づくことで実質賃金がプラス化する、という状況になっています。

すなわち、野田政権期の「停滞」の再来です。

Next: 体感では人手不足なのに、実質賃金が上がらない理由とは?

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