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バイデンが狙う「グレート・リセット」で格差定着。プーチン猛反発で米ロ衝突必至か=高島康司

プーチンは「巨大IT企業」を強く批判

次にプーチンは、「第4次産業革命」の負の側面を指摘する。「第4次産業革命」のAIなどの高度なITテクノロジーは、「ダボス会議」が提唱する「グレート・リセット」の中核になるコンセプトだ。

「しかし、このプロセスは新たな構造変化をもたらしているが、私は特に労働市場について考えている。これは、国家が効果的な対策を講じない限り、非常に多くの人々が職を失う可能性があることを意味している。これらの人たちの多くは、現代社会の基盤である中産階級の人たちだ」

そして、職を失った人々の高まる不満は社会を危機に陥れるかもしれないと警告する。

「構造的な社会経済的問題は、特別な注意と真の解決策を必要とするような社会的不満を呼び起こしている。彼らが無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれないという危険な錯覚は、深刻な結果を招く恐れがある」

この危機は社会の分裂となって現れるという。

「この場合、社会は政治的にも社会的にも分裂することになる。これはかならず起こる。なぜなら、抽象的な問題や人々が持つ政治的な見解ではなく、実際の問題に人々は不満を持っているからだ。分裂はかならず起こる。現実の問題は不満を呼び起こすのだ」

次に、「第4次産業革命」を主導している巨大IT企業を強く批判する。

「もう1つ重要な点を強調しておきたい。現代のテクノロジーの巨人、特にデジタル企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなってきている。特にアメリカの選挙キャンペーン中に起こった出来事は、このことをよく表している。これらの企業は単なる経済的な巨人ではない。いくつかの分野では、事実上、国家と競合している。これらの企業は何十億人ものユーザーで構成されており、生活のかなりの部分をこれらのエコシステムの中で過ごしている」

「これらの企業の見解では、企業の独占は、技術やビジネスのプロセスを組織化するのに最適であるという。だが社会は、そのような独占が公共の利益に合致しているかどうかを疑問視している」

プーチンは、この巨大IT企業の独占状態は、危険な社会管理をもたらすと警告する。

「グローバルビジネスの成功、オンデマンドサービス、ビッグデータの統合と、社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試みとの間の境界線はどこにあるのだろうか。我々はいま、アメリカでこれらの現象をすべて見ているが、いま私が何を言っているのか、誰もが理解しているはずだ。今回のイベントの参加者も含めて、圧倒的多数の人がこの立場を共有していると確信している」

プーチンのスピーチに「グレート・リセット」という言葉が出てくるわけではない。

しかしプーチンは、「CFR」と「ダボス会議」が推進してきた際限のないグローバリゼーションを、社会を分裂させる最大の要因として批判し、また「グレート・リセット」の中心にある高度なITテクノロジーを、「社会を自分の裁量で厳しく管理しようとする試み」として断罪する。

Next: 巨大IT企業による社会管理を警戒、プーチンの主張とは?

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