コロナ禍における外出自粛や時短営業要請の影響で苦境が続いている飲食業界だが、そんななかグローバルダイニングが展開するイタリア料理店「カフェ ラ・ボエム」の2月売上が前年比で148.7%だったと伝えられ、大きな波紋を呼んでいる。
グローバルダイニングが先日発表した月次売上速報(2021年2月度)によると、上記の「カフェ ラ・ボエム」のほか、和食レストランの「権八」も売上を伸ばしたようで、国内既存店すべてにおける2月売上は前年比で122.8%となっている。
もともと2月は飲食店にとっては閑散期とされる月。さらに前述のようにコロナの影響もあり、どの飲食チェーンも売上は良くて横ばい、ほとんどが下げている状況だ。さらに「カフェ ラ・ボエム」は、現在出店している13店舗のうち12店舗が、年初から非常事態宣言が出ている東京や神奈川という立地だが、その影響をまったく感じさせない好調ぶりとなっている。
飲食チェーンの2021年2月売上前年同月比。
20時以降も営業を続けたグローバルダイニングのラ・ボエムがなんと148.7%。ラ・ボエム 148.7%
くら寿司 112.2%
モス 110.0%
KFC 107.6%
マクドナルド 101.0%
スシロー 99.9%
かつや 99.0%
てんや 96.6%
すき家 92.1%
餃子の王将 89.5%(続く)
— 企業分析ハック -新しいビジネスの教科書を作る- (@company_hack) March 5, 2021
一時は時短営業受け入れも実際は…
今回伝えられた「カフェ ラ・ボエム」の好調ぶりに対して、ネット上からは「そりゃそうなるよね」との声が多数あがっている。
そりゃこうなるよね。
時短する事にほとんど何の意味も無いという事に早く気づいて欲しいわ。緊急事態宣言下のラ・ボエム、グローバルダイニングの時短要請拒否で売上の伸びがとんでもないことに(前年比+148.7%) : 市況かぶ全力2階建 https://t.co/OTPub9UYzG
— あおうさぎ🐇🍼 (@ao_usagi) March 6, 2021
もうすでに法令守って開けてるだけで人が来るようになっていますね。休業してる店にはいかなくなる客が増えるのでは?とにかく意味のない緊急事態は一日も早くやめるべきです。 / “緊急事態宣言下のラ・ボエム、グローバルダイニングの時短要請拒否で売上の伸びがとんでも…” https://t.co/3ztpMDVPcO
— ひでき (@hidekih) March 6, 2021
というのも、今年頭に東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県に緊急事態宣言が発令された際に、グローバルダイニングの代表である長谷川耕造氏は営業時間の時短要請に対して、「宣言が発令されても営業は平常通り行う予定」とサイト上で宣言していたのだ。この長谷川氏による「自粛拒否」に対しては、飲食関係者などからは賛同の声が寄せられた反面、「医療崩壊の実態を全く分かっていない」「仮にも上場企業が国の施策に従わないのは何事だ」といった批判意見も多くあがったていた。
しかし、2月に入ると営業時間の短縮に応じない事業者への罰則が盛り込まれた、新型コロナウイルス対策の改正特別措置法が施行。これを受けて長谷川氏は「従わざるを得ない」と述べ、一転して時短営業を受け入れる姿勢を見せたと報じられていた。
ところが、実際にはどうだったのかというと、上記の時短営業受け入れ姿勢の後も、深夜営業は続行していたことが、SNS上での投稿などから窺い知ることができ、しかも相当な盛況ぶりだったようだ。
時短要請に従わない素晴らしい店
『カフェ ラ・ボエム』
の銀座店。
全力で応援したい店ランキング(?)堂々第1位。27時30分まで営業している深夜ラジオのようなイタリアン。 pic.twitter.com/HTwchaLtmt— すべすべ銀行 (@SubeSube_Ginko) February 18, 2021
緊急事態宣言延長で、まだ続く20時閉店…😭
強気のグローバルダイニングの権八に行ってきた。12時までやってるみたい…超満員や!!
営業している所にはお客さん集まるみたい💦良い悪いじゃなくて皆さん大変だよね😭飲食従事者共に頑張ろう!!#nuchi941asakusa #浅草 #沖縄 #飲食従事者
— 沖縄 肉酒場 ぬちぐすい (@nuchi941asakusa) March 7, 2021
「正直者がバカを見る」批判の声も
自粛要請には従わないという、いわば“逆張り”の一手で、結果的にはひとり勝ちといった形となったグローバルダイニングだが、やはりというか「正直者がバカを見る」といった論調での批判的な意見は多い。
こういう「正直者がバカを見る」事態を防ぐ為にも、特措法の改正では刑事罰の導入を断行すべきだったんですよね。
緊急事態宣言下のラ・ボエム、グローバルダイニングの時短要請拒否で売上の伸びがとんでもないことに(前年比+148.7%) : 市況かぶ全力2階建 https://t.co/bS7wRUyo4Y— 角刈り大魔王 (@Great_Satan) March 7, 2021
この数字は凄いけど、いつか「あぁ、あの時ズル賢く動いて独り勝ちしていたラ・ボエムですよね、知ってます」って言われる日が来る可能性はリスクとして考える必要はあると思う。もちろん「あの時でも飲み食いの場所が必要な人がいたです」という大義を振りかざして対抗するのだろうけど、どうなるかな
— ワシ投資家 (@washi_inv) March 7, 2021
ただ、今回のような大幅な売上増を達成したということで、「自粛拒否」という経営判断は正解だったのでは、といった意見も。実際、同社の国内全店の2020年売上高をみてみると、前年対比で-42.7%と相当な打撃を被っていたようで、そうでもしなければ仕方なかっただろうという同情の声も多い。今回の自粛拒否による売上大幅増は「成功事例」と見做されるのか、それともある種の「禁じ手」なだけに認められないものなのか。意見は真っ二つに分かれている。
確かに…
しかし、グローバルダイニングは会社として要請無視を高らかに宣言してたし、これも1つの手腕と評価もできる。この規模の会社には協力金なんて何の足しにもならないしなぁ。 https://t.co/OuaBxv0JXO— ゆうのすけ/マイペースなキャリア設計 (@Yunosuke_job) March 6, 2021
緊急事態宣言を無視したグローバルダイニングが好業績を叩き出しているのを見て、要請に従った人が損をするのは良くないって頓珍漢な批判をしている人がいるけど、従うも従わないも経営判断の結果だからね。要請に従わないって経営判断にどれだけの覚悟が必要だったか、一切理解できないんだろう。 https://t.co/EvaxKRVm0l
— 説教おじさん (@partyhike) March 5, 2021
関東1都3県への緊急事態宣言が延長となり、年初からの飲食店への時短要請が長引いていることに対しては、飲食店関係者からはもとより、このところでは利用者サイドからも「本当に意味があるのか」といった批判的な声が多くあがっている昨今。いっぽうでは、一日一律6万円の協力金により、一部店舗ではいわゆる“バブル”となっていることに対して、不公平だといった妬みの視線も向けられるなど、このところの飲食業界はコロナそのもの以上に、国や地方自治体によるピンボケな施策に振り回されている、そんな印象だ。
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