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米利上げ“匂わせ”は中国攻勢の一環。政治的だったFOMC、日米経済にも返り血警戒=斎藤満

バイデン政権の中国攻勢

その点、今回のFOMCのタイミングを考える必要があります。

中国台湾問題に深く立ち入った異例のG7サミットが終わった直後で、かつジュネーブでバイデン大統領がロシアのプーチン大統領と首脳会談を行っていた時期にあたります。つまり、政治的に動いている時期のFOMCだったことです。

その点からすると、金融政策を通じた中国攻勢の一環とも考えられます。

米国バイデン政権は、トランプ前政権以上に中国に対して強硬に出ています。中国が経済分野も含めて米国に代わる覇権国を目指し、しかも新疆ウイグルでジェノサイド(大量虐殺)まで行い、人権侵害を進める国に、世界の覇権を譲るわけにはいきません。

そこでロシアとの対立をいったん緩和して中国に敵を一本化しようとしていた時期にあたります。それだけに、米国の金融政策を通じて、経済金融面から中国を攻撃することは、現政権の理にかなっています。

つまり、ドル建て債務も含めて巨額の債務を抱え、しかもその多くが不良債権化している中国にとって、ドル高・ドル金利高は中国の返済負担を高めることになり、大きな負担になります。

ドル金利高は、変動金利の債務では金利負担が増え、ドル高は人民元ベースの返済額が増えてしまいます。また昨今の資源価格高騰の下で、人民元安が進むと、中国の輸入コストがそれだけ大きくなり、経済を圧迫します。

これらを回避するには、中国も引き締めで金利を上げなければなりませんが、GDPの3倍を超える債務を抱え、最近では社債の債務不履行のケースも増えている中で、人民銀行が金融引き締めに出れば、通貨の防衛はできても、金融面から債務を圧迫し、経済に大きな打撃となります。

今の中国では簡単に金融引き締めはできません。

株価下落は限定的だったが…

16日のニューヨーク市場では、パウエル議長の市場に配慮した言い回しの成果もあり、株価の下げは限定的でした。

しかし、市場の認識とFRBの真意とに乖離が大きければ、それだけ今後の市場への波風も大きくなります。

市場の多くは「一過性のインフレが収まればまた緩和が続く」と見ていますが、FRBのインフレ評価が間違いであっても、中国攻撃の意図であっても、認識のズレが大きくなります。

Next: 日米経済にも返り血。投資家は最大限の警戒を

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