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「生まれて後悔」若者急増のなぜ。反出生主義者が嫌悪する“リアル人生ゲーム”の悦び、ダイスを転がす意義をあらためて考えた=午堂登紀雄

ネガティブ思考は予言的思考である

という感じで、彼らとのやりとりで感じたことは、人生経験が浅く視野が狭く、それでいて生きづらい自分のつらさに共感してほしい、それを誰かと分かち合いたいし広めたいという、若さゆえに陥りやすい「中二病」的な思想かもしれないな、ということです。そして根はマジメな人たちなのでしょう。

しかしそれも、本来は成長の途上で、何かに夢中になる、夢や使命感を持つ、責任感を持つ、自分で自分の環境を変える、自分の力で何かを達成する、愛する人ができて愛されている実感が得られる、といった多様な人生経験を通じ、考えは変わってくものです。

もっとも、これも程度問題で、やはり大人でも変わらない人はいます。が、そういう人は大人になっても自分の人生を呪っていますから、幸福ではないでしょう。その極端な例が、無差別殺人事件を起こしたり、建物にガソリンをまいて火を付けたりする人です。

そして、自分の不遇を呪うこと、つまりネガティブな思考は予言的性格を持っており、実際に不幸を呼び寄せ不幸を実現してしまうという、わりと恐ろしい思考パターンであるということに敏感になっておきたいものです。

たとえば「失敗するかもしれない、失敗したらどうしよう」などと思いながら何かをやれば、それは失敗する可能性が高くなる。なぜなら、ヒビって腰が引けてしまい、実力が発揮できないからです。

この場合、「ええい、周囲の評価なんてどうだっていい!全力でやり切ってやるさ!」と割り切った方がうまくいく可能性が高い。同様に、イヤだイヤだと思いながら生きていると、どうしてもイヤな面ばかり見えてしまう。すると、本当に自分の人生がイヤになってしまう。そうやって不幸が現実のものとなる。「思考は現実化する」とはそういうことです。

たとえば名作「赤毛のアン」の主人公アンは、孤児の自分が引き取られるとき、待ち合わせ場所に里親がなかなか来ない不安をこう述懐しています。「もし今夜いらしてくださなかったら、線路をおりて行って、あのまがり角のところの、あの大きな桜にのぼって、一晩暮らそうかと思ってたんです。あたし、ちっともこわくないし、月の光をあびて一面に白く咲いた桜の花の中で眠るなんて、すてきでしょうからね」。

ここでネガティブに考えれば、もし来てくれなかったどうしよう、この先どうやって生きようかと絶望するかもしれません。しかしアンは、不幸な状況でも肯定的に解釈することで、自分の存在を支えている。

これはポジティブになれなどという単純な問題ではなく、物事をどう受け止めることが自分にとって最適なのかという、自己の生存戦略の問題です。そして繰り返しになりますが、アンのように幸福に敏感になるか、あるいは不幸に敏感になるか、本人がどちらを志向するかという話です。

反出生主義を支持するのも自由。そして、自由とは自己責任

さて、私は自由をこよなく愛する人間ですが、考え方やそれに伴う選択はひとそれぞれです。だから辛い人がいる、不幸な人がいる、それで悲観して絶望している人がいる、という現実を否定はしません。それをSNSなどで吐き出すことで、気持ちに整理ができたり、誰かに共感してもらって気持ちが落ち着くということはあるでしょう。

また、私はお気楽で能天気ですから、発信する情報も「どうすればお気楽で能天気でいられるか、そうなれるか」という方法を紹介することになります。そしてそれでムカつく人がいるのも事実。「考え方を変えればもっとラクになるのにな」と思って提案してみるものの、それができない(したくない)という人がいるのも事実でしょう。

そして、それも個人の自由。そもそも成熟した人間は、自分の考えを他人に押し付けたりはしない。人は人、という、他人の意志を尊重する寛容さを持っています。

たとえば一流のビジネスパーソンほど、そういう鷹揚さというか、どっしりとした落ち着きを持っているものです。いちいち悲観してたら仕事が進まないし、イヤだからと逃げていたら目標は達成できないし、自分の考えを押し付けては交渉になりませんから。

しかし未熟で不寛容だからこそ、本人だけに飽き足らず「人類は滅ぶべき」などと押し付けようとする。「無になればいい」などと悲観的・退廃的な思想に陥ってしまう。

まあ、これは大人でも多く、自分の考えに固執している人は他人にも不寛容で、他人に強制したくなるようです。コロナでのマスク警察しかり、自粛警察しかり、です。

ほかにもいますよね。「あなたのためを思って言っているのよ」という人。そういう人は結局自分が安心したいだけの押し付けであり、本当は「自分のため」です。「あなたらしくない」「高校生らしくない」という人も同じく、「自分はそういうの気に入らないから」という本人の好みの押し付けなのです。

とはいえ、私に限らず強制されるのは誰でもイヤなものです。たとえば「仕事しろ」「宿題しろ」などと言われれば、イラっとくるでしょう。「進学しろ」「就職しろ」「結婚しろ」という押しつけもイラっとくる。「子を産むべきだ」と言われるのも余計なお世話でイラっとくるはずです。
反出生主義であっても、他人から「あれをしろ、これをしろ」「あれをするな、これをするな」などと言われてうれしいですか?ウザイでしょう?

それと同じく、本人が「産む」「産まない」というだけならそれは本人の問題であり、その意志は尊重しますが、なのに周囲に「産むべきでない」などと強制するから賛同できないわけです。

そこで再び自己矛盾劇場ですが、「それは余計なお世話ですよ」という余計なお世話で締めくくりたいと思います(笑)。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2021年7月18日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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