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TPPとメガFTA 「薔薇色ではないが、お先真っ暗でもない」日本の未来図=子貢

幸か不幸か?日本が「メガFTA」構想で優遇される本当の理由

さて、知らぬ間に進捗している「メガFTA」構想ですが、これだけ複雑な仕組みを最初に考案したのは誰でしょうか。

NAFTAを取り上げた際に、敢えて触れませんでしたが、「国富が増しているのに雇用環境が悪化し、富の再分配がなされていない」のであれば、どこかに富が偏在している筈です。

つまり、NAFTAと「メガFTA」のいずれにおいても、最大の受益者は誰か、それは米国系金融資本、厳密には金融機関と全米富裕層、及び米国企業幹部です。

ご留意願いたいのが、「メガFTA」と言っても実態は「メガEPA」です。(現に「日本EU EPA」と表記されているのですから、頭隠して尻隠さずです)

FTAとEPAの最大の相違点は「資本の移動の自由」、実はFTAでもなし崩し的に認められていますが、やはりこれを表沙汰にすると、纏まる話も纏まらなくなります。

ですからあくまで「メガFTA」、黒子の米国系金融資本は表舞台に立ちたくないのです。

それでは何故、日本が「メガFTA」構想で優遇されているのか、それは将来の新秩序に耐え得る体力を持ち、尚且つ、米国にすらない特長を兼ね備えている点にあります。

端的に言えば、「金融経済が健全なうえ、製造業の更なる高付加価値化が見込める」から、平たく言えば、日本に利用価値を見い出した米国系金融資本が、当面は国際秩序維持の相方として処遇しようと言うのが、その魂胆なのです。

TPPが苦痛を伴わないとは言いませんし、富の集中と所得格差を促す悪影響も否定するものではありません。ですが、金融経済が拡大する一方で、製造業が高付加価値化路線を維持出来るのであれば、失業や実質賃金の低下は最低限に抑えられます。

それと行財政改革の必要性が浮上してくる筈で、高付加価値化の大前提は競争社会ですから、競争原理が働かない官僚組織の簡素化は避けて通れませんし、2020年以降は財政赤字の削減が議題に上ります。

その意味で、大きな政府に傾く安倍内閣は、長期的視野(=「メガFTA」構想)に立てばあくまで「暫定」、上述の課題が表面化するのと前後して、小さな政府を志向する政権に移行するものと考えられます。

薔薇色ではないが、お先真っ暗でもないことに満足しなければならない、そんな状況を甘受せざるを得ないことになります、それでも諸外国よりは恵まれているのですから――

追記:下記ブログも併せてお読み頂ければ幸いです。
近現代中国考
真・現代の超克

(了)

【関連】「クリントン相手ならトランプが勝つ」アメリカ大統領選 票読みの結論=子貢

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