「桜を見る会」前夜の懇親会をめぐる安倍前首相の疑惑について、検察審査会は「不起訴不当」との結論を出しました。検察は忖度することなく、安倍氏を再起訴に持ち込めるのでしょうか?検察が意地を見せれば、逮捕のXデーは秋の総選挙後となりそうです。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2021年8月1日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
想定外だった安倍前首相「不起訴不当」の議決
検察審査会は7月30日、「桜を見る会」前夜祭の費用の一部を負担した問題で、安倍晋三・前首相を不起訴とした東京地検の決定について「不起訴不当」という結論を出しました。
この結論は、どうやら7月15日には決定していた模様。開催目前だった五輪には批判が集中していたために、開会式には出席しなかったという見方が広まっています。
実はこうした議決が出ることは、安倍氏にとっても、当の検察にとっても想定外だったようです。寝耳に水が入り過ぎて、聞こえなくなるくらい意外な話でした。
15日には「不起訴不当」の決定がいち早く伝わっていたことは間違いなく、いつ公表されるかわからない中で、五輪開会式で国民の前に姿を見せることのリスクを取らないために、出席を取りやめになったのではないかという憶測も、飛び出しつつあります。
今回の「想定外」の検察審査会の決定内容は、まとめると次の通り。
首相だった者が「秘書がやったことだ」と言って関知しない姿勢は、国民感情として納得できない。疑義が生じた際は、きちんと説明責任を果たすべきである。
このように国民目線でかなり厳しい付言も添えています。
果たして検察は、こうした国民に応える動きをすることができるのでしょうか。
再び「不起訴処分」となれば捜査は打ち切りに
この一件、報道を見たアンチ安倍の市民はすわ安倍逮捕かと、大興奮の状況です。
たしかに検察審査会は、安倍氏が会計責任者の選任監督を怠った政治資金規正法違反容疑とともに、前夜祭の費用負担が公職選挙法違反にあたると告発を受けた件についても、不起訴不当としています。
ですから、秘書による政治資金規正法違反の略式起訴で公選法違反不起訴処分という検察の判断とは、大きく異なるものになります。
ただし、この検察審査会の議決は強制捜査までありうる「起訴相当ではない」のが大きなポイントで、検察特捜部が再度捜査しても不起訴処分としてしまった場合には、2回目の審査はおこなわれないわけです。
ここからの動きは、検察がどこまで本気を出すかということ次第の状況になってきていることがわかります。
先の安倍前総理の決着がなんらかの政治的な取引に基づくものであるとすれば、今回、再捜査を型通りに行っても、結局、何も変わらない…というお決まりの終結に持ち込まれることも充分にありうるわけです。