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ゴールドマンも緩和シナリオ前倒し 日銀会合後の相場展開を予想する=岩崎日出俊

4月追加緩和の可能性は60%、ETF買い入れ枠の増額が中心か

ということで、私も日銀が追加緩和を4月27日~28日に行う可能性は半分以上(6割くらい)あると見ています。

緩和手段としては、批判が集中したマイナス金利を拡充するよりも、ETF(上場投資信託)買い入れ枠の増額が中心になると見ており、そうなった場合は、相場は上向いていくと考えています。

問題は4月の緩和を見送った場合。その場合は、日経平均はまたダラダラと下落に向かう可能性が高くなります。

今後数ヶ月の相場展開を予想する

いずれにせよ今年は日本(7月の参議院選挙)も米国(11月8日の大統領選挙)も選挙が行われる年。

安倍政権は株価を意識して政策運営をしており、株価水準が選挙結果にも影響することから、10兆円規模の補正予算を組むとか、いざとなればいろいろな政策を打ち出してくることが予想されます。

ということで、今後数カ月の相場展開を予想すると以下のような結論になります。

(1)
金融政策(追加緩和)や財政政策(大規模な補正予算)など、政府・日銀が出来ることはまだあり、これを行わないことにはデフレ脱却は難しく、「アベノミクスは失敗した」との烙印を押されてしまう。これでは選挙結果にマイナスな影響を与えてしまうことが予想されるだろうから、参議院選までは比較的堅調な相場展開が予想される。

(2)
ただし日本経済が抱える構造的問題が解決されるわけではない。

[A] 日本の人口のうち65歳以上が3,435万人。これを仮に年金世代と称すれば、この部分の人口が全人口の27%にも達する。一方で15歳~64歳は7,659万人。この部分の世代を仮に就労可能な世代と称すれば、これは全世代の60%を占めるのみ(下記参照)。
人口推計[PDF] – 総務省統計局(平成28年4月20日)

[B] こうしたこともあって、例えば1994年から2014年にかけての20年間で日本の一人当たりGDPは3万8800ドルから3万6200ドルへと7%ほど減少してしまった。一方で例えば米国の一人当たりGDPは2万7800ドルから5万4600ドルへと約2倍になっている。日本の一人当たりGDPは、20年前は米国よりも上だったのだが、いまでは米国の3分の2しかない(下記参照)。
GDP per capita (current US$) – THE WORLD BANK

[C] 最近時の経済パフォーマンスの実績値も、そして予測値も、日本だけが良くない。以下はGDPの対前年比成長率(%)

2015(実績) 2017(予想)
世界全体 3.1 3.5
米国 2.4 2.5
ユーロ圏 1.6 1.6
日本 0.5 ▲ 0.1

以上については下記参照。
World Economic Outlook (WEO), April 2016[PDF]

[D] 日本では全労働者に占める非正規労働者の割合は約40%に達してしまっており、この部分が貧しいままでは、本来であれば経済(そして企業業績)を牽引するであろう「個人消費」は改善しない(下記参照)。
平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況 – 厚生労働省

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