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なぜ日本で“暗号通貨難民”が増加中?ウォレット鍵の紛失続出、ビットコインは規制と利便性のジレンマで衰退か=俣野成敏

安全に暗号通貨を保有する方法は2通り

俣野:暗号通貨というと、世間ではハッキングリスクやシステムの脆弱性ばかりが指摘されがちですが、それ以前に大きなリスクが潜んでいる、というわけですね。

織田:暗号通貨には、保管場所としてウォレット(電子財布)が用意されています。

ウォレットには、ホットウォレットとコールドウォレットの2種類あります。ネットに接続されているタイプはホットウォレットと言い、取引所が用意しているウォレットは、主にこのタイプになるかと思います。

ホットウォレットは、通貨の出し入れが自由なことから、トレードをする際などに便利な反面、常にハッキングリスクにさらされています。実際、過去に何度か暗号通貨の大規模流出が起きています。

コインチェック事件などでは、ユーザーの損失分は全額補填されています。しかし、今後もそうなるとは限りません。

暗号通貨を保有したければ、少なくともネットに常時接続しないコールドウォレットに保管し、自分で記録媒体とカギをしっかり管理する必要があります。それができなければ、お金を払って他人に管理してもらうかの、いずれかしかないと思います。

「暗号通貨業界の安全性は?」盗難対策とその限界

俣野:コインチェック事件といえば、最近、動きがありましたね。
※参考:流出の仮想通貨NEM、不正交換疑い31人摘発 188億円分: 日本経済新聞(2021年1月22日配信)

織田:2018年1月下旬に、コインチェックで大規模流出が起きた翌月には、早くもダークウェブ上で盗難通貨を交換する闇サイトがオープンしました。3月22日までに、全額が別の暗号通貨と交換されています。

不正交換を疑われている31人は、この闇サイトで盗難通貨を安く手に入れたものと見られています。

その後、差益を得る目的で、一般市場で再両替を行ったことが、逮捕等につながりました。認可されている取引所で取引をすれば、身元が分かりますので。

俣野:マネーロンダリング(資金洗浄)にもしばしば使われる仮想通貨ですが、「完全に追えない」ということではない、と。

織田:確かに、暗号通貨の取引記録であるブロックチェーン上では、個人を特定することはできません。しかし記録をたどることによって、コイン自体が盗難されたものなのかどうかというのはわかります。

現在、認可された取引所では、盗難されたコインを取り扱いできないよう、ブラックリストが作成されています。暗号通貨業界でも、ようやくマネーロンダリング対策が始まったところです。

Next: 個人間の取引に規制をかけるのは難しい。暗号通貨は前途多難

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