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「温泉むすめ」に“女性蔑視”批判で後援企業が続々辞退?問題のキャラ設定は修正されるも止まぬフェミ側の抗議、地域PRキャラは風前の灯火か

温泉地をモチーフにした地域活性クロスメディアプロジェクト「温泉むすめ」に対し、一部のフェミニストが“性搾取”だと批判の声をあげたことがきっかけで、ネット上でその是非をめぐって大騒動に発展している。

温泉むすめとは、各地の温泉地を萌えキャラ化し、アニメや漫画、楽曲などといったメディアミックス展開を通じて、各温泉地を盛り上げていくといった趣旨のもの。

プロジェクト自体は2016年に発表され、2019年からは観光庁の支援も受けるなど、その規模は徐々に拡大。2021年10月の時点では、全47都道府県と台湾の温泉地のキャラが、122人も存在するという。各温泉地では、ライブやトークイベントといったタイアップイベントも行われるなど、観光客誘致や地方創生にも一役買っているようだ。

ところが、ここに来てとあるフェミニズム活動家女性が、温泉むすめの各キャラクターのキャラ設定に対して「性差別で性搾取」だと猛批判を展開。実際、キャラのなかには「スカートめくり好き」「夜這い待ち」などといった設定を持つものも含まれていたという。

この意見に対しては賛同する声も見られたものの、そのいっぽうで先日大騒動となった、VTuber起用の警察のPR動画がフェミニスト団体の抗議受け削除された一件と同様、表現の自由を侵害するものだとの批判も多く、ネット上は大揉めととなっている。

【関連】女性の敵はフェミ議連?VTuber起用の千葉県警PR動画「性的」抗議受け削除で物議。圧力疑惑に「警察が勝手に削除」との無責任発言で批判殺到

「温泉むすめ」プロジェクトそのものが“性差別”との主張も

そんな最中、温泉むすめのウェブサイトに掲載されていたプロジェクト後援企業の一覧が、今回の騒動を受けてか、観光庁を除いてすべて削除されていることが判明。もともと協賛には読売新聞、キヤノン、スカイマーク、富士フィルムなどといった、名だたる大企業が名を連ねていただけあって、大きな衝撃が走る結果となった。

この突然の一斉削除だが、温泉むすめを女性蔑視だとするフェミニスト側からは「温泉むすめの女性蔑視的表現に対して、スポンサーがノーを突きつけた」などとの声があがるが、いっぽうでは「スポンサーサイドへクレームが広がらないよう、サイト運営側がまとめて削除したのでは」といった見方も。騒動の勃発からものの1日程度という短時間での全削除ということで、前者のように各スポンサーが個別に判断するには、時間が無さすぎるというのだ。

実際、今回の騒動を受けてサイト内の様々な表現が差し替えられているようで、フェミニスト側から批判のあった「スカートめくり好き」「夜這い待ち」といったキャラ設定は、いつの間にかに修正がなされている。状況としては、フェミニズム側の抗議がほぼほぼ通っているといった格好だ。

しかし、フェミニスト側の抗議活動は止むことは無く、当プロジェクトを運営する株式会社エンバウンドや後援の観光庁などに対して、黙って修正するだけでなく謝罪文や声明を出せといった声が。さらに非難の矛先は各キャラクターの設定にとどまらず、温泉むすめ全員が性的消費をされているとの主張も飛び出しているようだ。

このように「女性蔑視」との批判の声は衰え知らずといった感じだが、そのいっぽうでフェミニスト側が想定している問題の落としどころ、結局のところどういう風に改善して欲しいのかという現実的な要望が、いまひとつ見えてこないという印象も。そのためネット上では「もはや批判すること自体が目的となっているのでは」との見方、あるいは先述のVTuber騒動でも指摘されていたが「団体としての実績作りが目的では?」といった邪推も浮上している状況だ。

執拗な抗議が続けば「温泉むすめ終了」の可能性も

それにしても、2次元キャラなどに代表されるオタク文化とフェミニズムとの相性は、過去にこの手の騒動が何度も繰り返されていることを考えても、まさに水に油で絶望的に悪いというのは間違いなさそう。

ただ、温泉むすめを擁護する側の「表現の自由を守れ」という主張も、その守ろうとしている表現の実のところが「スカートめくり」や「夜這い待ち」という点で、表現には貴賤はないとはいえ、なんだかなぁという想いを抱かせるのも否めないところ。同人誌の世界など、限られた人間が能動的にアクセスしなければたどり着けないシーンでマニア同士で楽しむなら、そういったキャラ設定も大目に見てもらえるだろうが、子どもも含めた幅広い年代の客が目にする可能性がある観光PRを目的としたキャラとしては、いささか設定が尖りすぎだったのでという指摘も少なくはない。

今回問題視された温泉むすめのキャラの設定だが、プロジェクトを運営していたエンバウンド社が勝手に作ったものなのか、それとも各温泉地からの要望を取り入れて作られたものなのか、その実情は不明だ。ただ、今後温泉むすめのキャラたちが各温泉地の活性化に寄与する存在となっていくためには、批判を呼んだキャラ設定が生まれた過程も明らかにされ、過度にマニアックなノリにならないようなキャラへと改善されていくことも必要となって来るだろう。

とはいえ、もしもフェミニスト側の思惑が、先述の通り「批判すること」自体が目的であるならば、今後も運営会社や観光庁、さらにキャラが存在する温泉地なども含めた“温泉むすめ界隈”に対しての、執拗な抗議が続いていくことが大いに考えられ、さらにスポンサー企業が本当に手を引くといった事態になれば、近い将来プロジェクト自体が頓挫してしまうことも考えられそうである。

そういった展開になれば、温泉むすめを観光客の誘致に活用しようとしていた各温泉地の機会損失に繋がる可能性も大きい。そうでなくとも、昨年より続くコロナ禍で大打撃を被っている各地の観光業だけに、そういった人々がさらなる苦境に追い込まれないよう、建設的な事態の幕引きを願うばかりだ。

Next: 「この5年間温泉地に一度も足を運んでないということの証明」

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