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ビットコイン相場に大異変、実態経済の指標と連動しだしたワケ。米ミレニアル世代が暗号通貨に本腰=高島康司

機関投資家のクジラが中心

これは、SNSで喧伝されるシナリオに反応して相場が変動していた、ついこの間までの暗号通貨の市場とはかなり赴きが異なる傾向だ。

これまで暗号通貨の相場は、金利の変動やインフレ率、そして株価などには相対的に無関係に変動していたのに、両者の間に明白な連動が見られるようになっているのだ。

このような連動の背景にあるのは、ビットコインの中心的な投資が、個人投資家から「クジラ」と呼ばれる大口や機関投資家に移動している事実である。

「クジラ」とは、保有コイン数が100から1,000コイン規模の投資家だ。暗号分析プラットフォームの「Santiment」が発表したデータによると、2021年第4四半期の開始以来、こうした「クジラ」の数が増加しているのだ。「クジラ」の数は、100から1,000コインを保有するビットコインのアドレス数を見ると簡単に分かる。過去2カ月で、「クジラ」のBTCアドレスは合計で193件ほど増加している。

全体としては、100から1,000コインを保有するビットコインのアドレスは1万3,942件になった。これは、2021年9月下旬と比較すると、1.4%の増加だ。

「クジラ」のこうした増加こそ、ビットコインの相場が実体経済の指標と連動するようになった原因だ。「クジラ」のような大口の投資家の多くは機関投資家であり、株式市場などにももちろん投資をしている。これまでは、ビットコインのような暗号通貨の市場はこの分野にだけ投資をしている個人投資家が中心で、株式市場とは連動していなかった。だが、いまは同一の投資家が両市場に投資をするようになっているのだ。

その意味では、実体経済のさまざまな指標に反応して動く株式市場の動きを見ながら、ビットコインなどの暗号通貨への投資を決めることが、次第に主流になりつつあることを示している。

インフレヘッジとしてのビットコイン

では、このような「クジラ」はどのような基準でビットコインに投資をしているのだろうか?それは、インフレヘッジだ。

現在、インフレは加速し、アメリカでは6.8%、イギリスでは5.2%にまで上昇している。これは約30数年ぶりの上昇である。当然、ドルやポンドの通貨価値はそれだけ目減りする。

他方、ビットコインの採掘量は1,890万枚を超えた。ビットコインの採掘上限が2,100万枚なので、これは全体の90%以上のコインがすでに採掘されたことを意味する。つまり、ドルなどの通貨価値は下落する一方、ビットコインの価値は上昇する傾向にあるということだ。

このような状況を背景に、インフレのリスクを回避するために、資産の一部を株式などから、上昇が期待できるビットコインに移動させているというのが、「クジラ」の投資行動である。

Next: 金利の動きと連動するビットコイン相場、利上げが続くと下落する?

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