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円安はGW前後に解消か。日銀金融政策決定会合での“黒田サプライズ”に現実味=角野實

自然利子率とマーケット

以前に当メルマガで「自然利子率」に関して書きました。

自然利子率というのは、実質金利を縦軸に、潜在成長率を横軸にして、その交点が自然利子率だ、ということを以前に述べていると思います。

この自然利子率の重要性は、マーケットは自然利子率を推測して上下動を繰り返しているからだ、と以前から言っている通りです。

現在の自然利子率は、上昇している可能性が非常に高いのです。それが週末から株価が下がっている原因でもあります。

具体的には実質金利というのは政策金利(0.25-0.50%)からインフレ率(CPI)を引いたものと一般的には言われています。先日、発表されたCPIでは先月7.9だったものが8.5に上昇しました。つまり実質金利は0.6上昇したことになります。

そして、潜在成長率とは一般的な解釈では期待インフレ率と言われています。これも先日発表された、ミシガン大学サーベイにて、先月5.4だったものが3.0まで低下をしています。

つまり縦軸である実質金利が上昇したので上にいき、そして潜在成長率の横軸は低下したので左に行ったのです。この交点が自然利子率になりますので、自然利子率は上昇ということになります。結果、株価やそのほかのリスク資産は下がることになります。

ところが原油や穀物などの商品市場はそれに反した動きをしている、つまり、本来なら自然利子率は上昇しているので、リスク資産であるエネルギーや穀物は下がるはずなのに反対なのに上昇している、これはおかしい、という話になるのです。

では、こういったエネルギーや穀物は自然利子率の支配を受けていなく、需給はそのほかの要因によって動いているのだろう、ということになります。私が推測しているのは需給ではなく買い占めが活発化をしているのであろう、だから、市場の自然率などは商品市況では相手をせずに、買っていくほかない、ということです。

これらのエネルギーや穀物の価格構成要因は内部要因であろう、ということです。

原油ほか商品市場は青天井になりやすい状況へ

つまり、バイデン大統領はエネルギー市場に関してSPRなどを放出して売り込み型の相場に変化をしており、それが現在、120ドルの高値からを支配している状況です。

おそらくめいっぱい売り込ませたら、買い方が出動をしてこれらを踏み上げるはずです。これがエネルギーや穀物の価格構成要因であろうと思います。

そのほかには原油売り、天然ガス買いなどのストラドルなども組まれており、内部要因からは、この値段の予測はしようがない状態です。

商品市場というのは、現物をもっている、端的にいえば、石油の在庫を持っている人がその在庫保有がある限り売りポジションを解消しませんので、常に売りは存在する状態です。つまり、みなさんがエネルギーや穀物は買いだ、と総買いの状況になっても、値段が上昇すればするほどヘッジの売りを呼び込みますので、商品市場は青天井になりやすい内部要因になっています。

つまり、小さい市場に、大きな買いが入ってきて、ヘッジ売りは常にある状況ですから、総買いになっても売る人が常にいる状況ですから、値段は常に成立をするのです。結果として値段は青天井になりやすいわけです。

原油価格が200ドルにいっても、ちっともおかしくないような状況に陥っているのです。つまりバイデンを筆頭に西側が価格抑制策を打ち出す、SPRの放出やイラン核合意の再合意などを出せば出すほど、価格は上昇するということになるのです。

在庫が枯渇すれば売り物はなくなり価格がつかなくなる状態ですが、ヘッジ売りは踏んでは売り、踏んでは売りを繰り返すので売り物はなくならないのです。

ましてやこの価格高騰は前述したとおり買い占めの可能性が高いのですから、在庫ヘッジの売り物はなくならない状態になるのです。

これが商品市場の価格構成で、どこまで上昇するかはわからない、というのが素直な答えになると思います。

Next: 穀物・エネルギーのインフレが当分の間「止まらない」理由

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