個人投資家が情報を掴むのは難しい
俣野:つまり今から金を購入するのでは遅い、と。
織田:確かにまだ上がるかもしれませんが、普通は人々の噂に上るようになったら、大幅な上昇は見込めません。世間が騒ぎ始めた時点で、投資家にとっては売却のタイミングだと思ったほうがいいでしょう。
俣野:世間が気付く前に、どうしたらそういう耳寄りな情報を得ることができるでしょうか。
織田:私は職業柄、常に金融情報が入ってくるようにアンテナを貼っています。けれど、そうでない一般人の方にとって、タイムリーに情報をつかむのは、簡単なことではないと思います。
「資産のすべてを日本円で持たないこと」
俣野:危機に備えて、一般の人にもできることがあったら教えてください。
織田:今回のウクライナ侵攻にしろ、コロナショックにしろ、「いつそれが起きるのか?」というのを正確に予測するのは困難です。
ただ、確実に言えるのは「こうした危機は、定期的に起きる」ということ。ですから、いつ危機が発生してもいいように、普段から準備しておくことが大切です。
ショック時に対する事前準備とは、資産防衛やリスクヘッジをすることを指します。具体的には「資産のすべてを日本円で持たないこと」「海外にも資産の一部を置いておくこと」などです。
俣野さんのもとで学ばれたセミナー受講生の中には、すでにそれを実行されている人もいるかと思います。
数年前から海外投資を始めていた人は、今回の円安による物価上昇も、大きな影響はないでしょう。日本の資産が下がっている分、海外の資産が上がっているので、マイナス分が相殺されて、資産の目減りを防ぐことができるからです。
俣野:平時の時から、そのような準備をしておくことが大切ということですね。もちろん、今からでも遅くはありません。
私はセミナー等を通じて、もう5年以上も前から分散投資を呼びかけてきましたが、中には「日本の銀行で米ドル投資を行なっているから大丈夫です」と言う人もいます。
織田:海外投資を行うのと、日本の金融機関でドル定期を行ったり、ドル建て保険に加入したりするのとでは、意味が全然違います。
日本の金融機関が販売している海外商品を購入するのは、「日本の金融庁の息がかかっている商品を買う」ということです。つまり、その資産は完全に日本政府のコントロール下にあることを意味します。
そのような資産を、有事の際に海外に持ち出すことは難しいでしょう。