予想のハードルは高め!波乱に警戒
それでは、先に発表されている雇用指標の数字を見ながら、今日の展望を考えていきたいと思います。
統計手法を変更したADP社の全米雇用報告を見る限り、雇用の鈍化が示唆されています。ちなみに変更をした理由としては、乖離が指摘される労働統計局の非農業部門雇用者数に近づける類のものではなく、より正確な労働市場の状況を反映することを目標としたとしていますから、まだまだ乖離は続きそうではあるんですけどね。
一方で、ISM(米供給管理協会)の示す製造業の雇用指数は、4ヶ月ぶりに好不況の節目となる50.0ポイントを上回って3月以来で最高、労働市場が一定以上の強さ、パウエル議長も指摘するタイトさがあると言えるでしょう。
トータルで見ると、可もなく不可もなくといったところで、それなりの数字が期待できるように思います。ただし、前月の非農業部門雇用者数は+52.8万人と大幅増だったことを踏まえると、前月比ですから反動減も想定されるところで、+30万人という事前予想の数字は見た目以上に強い印象です。
コロナの影響は元より、インフレによる半強制的なダブルワークが雇用者大幅増のノイズになっているという指摘もありますから、波乱も十分に想定したうえで見ておく必要がありそうです。
よほど弱い数字でなければ下がらない?
パウエル議長がインフレ退治という断固たる決意、つまり、多少経済に痛みがあろうとも利上げを継続する姿勢を明らかにしていますから、雇用統計もよほど悪い数字が続かない限り、利下げといった織り込みにはなりにくいでしょう。
そういう意味で、今夜も含めて今後のドル円は底堅い状況が続くことが想定されます。
事前予想値は+30万人増となっていますが、+20万人増レベルであれば十分に労働市場はタイト。そういう意味で非農業部門雇用者数が+10万人未満となる、あるいは平均時給が前月比でマイナスとなるといったことでもない限り、基本的にドル円は押し目を狙っていきたいところです。