大手牛丼チェーンの松屋が一部店舗で実施していた「みそ汁無料サービスの終了」を、今月11日に止めたと報じられている。
「みそ汁無料サービスの終了」を行っていたのは北海道の11店舗で、今年8月23日に突如発表され、即日実施。原材料価格と物流費の高騰を受けての同施策だったが、利用者からの復活を求める要望は大きかったようで、わずか1か月半ほどで元に戻ることとなった。
今回のみそ汁無料の復活を受けて、とある松屋関係者のツイッターは「コストばかり気にして、危うく『みんなの食卓でありたい』という想いをなくしてしまうところだった」「みなさまからの声で、本当に大事なことに気づかせてもらった。心より御礼申し上げる」とコメントしている。
北海道で一部商品を対象に「店内みそ汁付きサービス」を中止しておりましたが、昨日よりサービスを再開いたしました。 pic.twitter.com/bgWmzoPHHj
— 浜野 隼【松屋】 (@hamano_jun) October 12, 2022
みそ汁無料終了で客離れ?……との推測も
歴史的な円安や原材料価格高騰のあおりを受けて、低価格を売りにしていた外食チェーンの間でも値上げが相次いでいる昨今。
そんななか、松屋の北海道内の一部店舗で試験的に実施されていた「みそ汁無料サービスの終了」だが、具体的には牛めしなどの単品メニューのみを対象に、それまでは無料で提供していたみそ汁を60円で提供するというもの。
各社間でだいたい同じような価格を維持している牛丼だが、松屋はみそ汁が無料で付く分だけお得だといった評価もすっかり定着していた最中での“実質値上げ”だっただけに、「これが全国的に導入されたら……」という危惧も広がるなど、大きな反応を呼んだのも記憶に新しい。
そんな「みそ汁無料サービスの終了」が今回わずかな期間で覆されたことに関して、SNS上では「さすが我らが松屋さん!」といった称賛の声も多くあがっているのだが、その反面で、結局のところみそ汁有料化によるプラス以上に、それによる客離れのマイナスのほうが大きかったからでは……といった推測もチラホラとあがっているところ。
「大事なことに気づかせてくれた」──松屋、札幌限定で廃止の「みそ汁無料サービス」復活 ユーザーに謝意 https://t.co/nVwMlmGXsg
記事中にもあるけど、11店舗限定のみそ汁無料廃止はあくまでも売上にどう影響するかを見る為の試験で、その結果みそ汁無料のほうが利益が出たって事なんでしょうな。— たかざわめぐむ (@takazawa) October 13, 2022
そうなんだ、北海道の松屋みそ汁ついてくるの復活したんだ。それくらいお客さんが減ってしまったんでしょうか・・・
— もちー (@mochiee_y) October 13, 2022
松屋の牛めしといえば、今年9月にタレが“32代目”のものに変わり、またみそ汁のほうも昨年にリニューアルされるなど、クオリティの向上には余念がなく、その味わいはライバルチェーンにまったく引けを取らないのは言うまでもない話。だが、それ以上に“みそ汁付きでのコスパの良さ”に重きを置いている利用者が相当多いことに、今回の件で改めて気づかされたといったところだろうか。
「値上げせず」のスタンスに寄せられる賛否両論
みそ汁の有料化に関してはギリギリ踏みとどまった松屋。しかしそのいっぽうで今月11日には、「ネギたっぷり旨辛ネギたま牛めし」など複数商品の値上げを実施。730円だった「オリジナルハンバーグカレー」の新価格は830円にアップするなど、各商品10~100円の値上げとなっている。
このように、もはや多少の値上げは不可避といった空気が支配する外食業界だが、そんななかイタリアンファミリーレストランチェーンのサイゼリヤは、今月12日にあった記者会見で社長が「値上げしません」と宣言。
サイゼリヤの場合、海外店舗が約500店まで増えており、それらは円安によって逆に増益効果が見込めるということで、価格の据え置きを決めた模様。この決断に対して、利用者からは手放しに喜ぶ声も多く聞かれたものの、企業が値上げしないことを称える風潮というのも如何なものか……といった声もあがるなど、様々な反応が飛び交った。
気持ちは或る部分理解できるが、これを「デフレマインド」と言うのでは?
価値ある物を、価値に見合った価格で提供していかないと従業員も納入業者も幸せになれないと思う。「安い」だけが正義だろうか?サイゼリヤが「値上げしません」宣言 社長が語る同社の「使命」とはhttps://t.co/qAGnw31E97
— nishichan3 (@nishichan3) October 12, 2022
ここにも
成功体験にしがみつく
老害経営者
Yahoo!ニュース: サイゼリヤが「値上げしません」宣言 社長が語る同社の「使命」とは(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース.https://t.co/VGDoFZVVMZ— 井川 意高 本アカ (@mototaka728) October 12, 2022
”商品を値上げしない”
が美徳化するのって問題ですよねえあとワイドショーとかニュースとかで
”値上げして困ります。買わない買えない”
みたいな”無責任な街の声”を流さない方が良い。
そう刷り込まれるから賃上げしてモチベーション維持して働けた方がずっといい。
値上げに耐えられるぐらいに。— 木志田コテツ@遊び方マンガ描き (@KIN_G_OF_KINGS) October 12, 2022
モノの価格が上昇し、企業の利益が増加すれば、従業員の給料が増加して購買力が上がり、消費がより活発になっていくという、いわゆる“良いインフレ”の流れに持っていくためには、企業の値上げを容認すべし……長らく続いたデフレ期への反省も込めた、こういった意見も大いに幅を利かせている昨今。
だが、そのいっぽうで「20年上がらない日本の給料」といった状況が散々指摘されるなかで、企業が潤ったところで果たしてそれが従業員の給料に反映されるのか……といった疑心暗鬼な見方も根深いといった状況だ。
「給料が物価(上昇)に追いついていない。暮らしが厳しい中、安くて良いものを出す使命がある」
本当にそう思うなら「10円だけ値上げします。それで従業員の賃上げします。」の方が称賛されると思うけど。
このニュース、違和感あるわw#サイゼリヤ https://t.co/T78E01SD0j
— たか (@takahiro_vvvv) October 12, 2022
サイゼリヤの値上げしない宣言。
サイゼリヤに限らないけど、値上げしないことを誇ることより、値上げしてても従業員の給料を上げました!が美談になる世の中になってほしいな。— スーパーの中の人 (@supernakanohito) October 12, 2022
サイゼリヤの「値上げしません」宣言に対しては、「“値上げするけど、それで賃上げします”のほうが称賛されるのに……」といった声もあがっているのだが、実際そういったことを公言する企業がほとんど現れないところも、いわゆる“良いインフレ”論に対する懐疑的な視線に繋がっているともいえそうである。
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