「リスキリングサミット」に参加して見えてきた実態
2022年10月12日に、日経新聞社・日経BP主催、内閣府・厚生労働省・経済産業省・日本経済連合会講演で「日経リスキングサミット~共に成長する社会の創出」と題したイベントが日経ホールとオンラインとのハイブリッドで開催されました。私はオンラインで参加しました。
このイベントの特別協賛として、ベネッセコーポレーション、Udemyの名前があり、協賛企業としては EY Japan、パーソルホールディングス、グロービスが名を連ねています。
ちなみに、EY(Ernst & Young アーンスト・アンド・ヤング)は、ロンドンを拠点に「Building a better working world ~ より良い社会の構築を目指して」を理念に、 世界150以上の国・地域で会計や税務などのコンサルティングを行っている会社です。
パーソナルホールディングスは、労働者派遣事業・有料職業紹介事業等の事業を行うグループ会社の経営計画・管理並びにそれに付帯する業務を行っています。かつての「テンプスタッフ」です。海外拠点のほうが多いようですね(国内:40社 海外:97社 ※2022年11月1日時点)。
グロービスは企業内研修、大学院経営をしている会社で、日本に居ながらMBAが取得できます。
そして、ベネッセコーポレーション…いままで全国大学受験や東京都立学校入試などで、よく登場してきた名前ですね。
Udemy社は「Improve Lives Through Learning(学びを通して人生をより豊かに)」を事業コンセプトとして掲げ、2010年に米国サンフランンシスコで設立された企業です。
Udemy.Incと株式会社ベネッセコーポレーションは資本提携の関係にあります。
「人生100年 ✕ リカレント教育」…ベネッセコーポレーションはこの流れが来ることに注視して、社会人向けの英語学習サービスを提供する株式会社スタディーハッカーを、株式会社ベネッセホールディングスにグループインし、次いでUdemy社との資本提携と、リカレント教育領域のサービス提供強化を図ってきました。
リカレント教育に関しては、前述の通り「学び直し」、自己啓発に属するものでしょうか。「リスキリング」は会社の業務の一環となります。
この資本提携等で作り上げた「リカレント教育」推進のシステムを、「リスキリング」に活かそうというもののようです。
ある意味、ベネッセコーポレーションとUdemyは「一体」と考えたほうがよさそうです。
そのUdemy(ユーデミー)とは、世界中の「教えたい人(講師)」と「学びたい人(受講生)」をオンラインでつなぐプラットフォームを運営し、世界190か国以上に展開しているもので、その日本での運営をベネッセコーポレーションが担うことで、今回の岸田政権肝いりの「リスキリング」拡充強化に参画しているのだと思います。
ベネッセコーポレーションは、2019年6月に、法人向けの研修サービスとして「Udemy for Business」の提供を開始し、IT・DX人材の不足、働き方改革による生産性向上などを背景に、トヨタ自動車株式会社、ソフトバンク株式会社、みずほフィナンシャルグループなどの大手企業を含む約100社に導入されました。
これらの実績から、今回の「リスキリング」拡充強化に参画しているのでしょうね。10月12日のリスキリングサミットでは「企業講演」として、Udemyとの連携強化を説明していました。
岸田総理は明確に「副業・兼業」で収入アップを目指せと言っている
当日講演によると、2022年9月時点でのUdemy Business 導入実績は、国内900社以上、日経225構成企業の50%以上が導入しています。継続率は90%以上だそうです。
ベネッセコーポレーション「人的資本経営」
岸田政権「人への投資」
実にシンクロしますね。この先に「人材育成戦略の見直し」とプレゼン資料にはあります。
昨今の経営状況などから考えると、「人生100年」が持つ意味は、企業よりも人のほうが長生きするというイメージにもつながるようで、「生涯学習」というのが求められるとしています。
この文脈は「リカレント教育」に繋がりますね。
確かに、岸田政権での「賃金上昇」を家計における「収入増」に置き換えると、企業での働き方をバージョンアップさせることでの賃金を上げてもらうという側面もありますが、岸田総理は明確に「副業・兼業」で家計収入増を目指すようにも訴えています。
副業・兼業がやりやすいように、企業側に副業奨励を促し、週休3・4日制導入にも前向きになっています。
この流れはベネッセコーポレーションにとっては、「リカレント教育」「リスキリング」両方につながるもので、それができるのも Udemy との資本提携があったからだとは言えるのではないでしょうか。
企業戦略ですね。
ベネッセコーポレーションは、民間企業だけでなく、地方自治体とも多く契約をしています。サミット当日の資料によれば、東京都、埼玉県、鳥取県、奈良県、それと岐阜県恵那市の例が紹介されています。
ベネッセコーポレーションプレゼン資料の最後に「『最終学歴』以上に『最終学習歴』を誇れる社会へ」と書かれています。なかなかうまい表現ですね。
「リスキリング」や「リカレント教育」は、これからの社会のあり方、従業員として会社と対等であるために、つまり「Win-Win」の関係維持のためには、必要なことだと思います。
とくに岸田政権で会社側の負担で従業員のスキルを磨く「リスキリング」は、海外ではとっくに普及しているものであり、ようやく日本でも広く普及するときがきたという感じになっています。
そんなムードの「日経リスキリングサミット」でした。