この冬が転換点になりそうなウクライナ情勢について解説したい。12月10日から19日頃に、ロシア軍はウクライナ全土で全面的な攻勢に出て来る可能性がある。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)
※本記事は有料メルマガ『未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ』2022年12月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
12月10日から19日は転換点か?
ロシア軍がウクライナ全土で全面攻勢に出る可能性が高くなっている。起こるとしたら、12月10日から19日くらいの期間に始まるのではないかとの観測もある。
これでロシア軍が優勢となり、ロシアが勝利宣言するようなことにでもなれば、その先にはもっと深刻な危機が待っているはずだ。
この状況を説明する前に、いまの戦況と情勢を確認しておきたい。
じわりじわりと領土を拡大するロシア
この1週間、戦況に大きな変化はないようだ。南部も東部も比較的に静穏な状況が続いている。ウクライナ軍は大規模な反転攻勢を実施しておらず、領土の拡大は見られない。
一方、全体的には静穏な状況にあっても局地的に支配地域を拡大しているのはロシア軍である。
ロシア軍はすでに4カ月のもの間激しい攻防戦が続いている東部の都市、バフムートの包囲を完了しつつある。バフムートは、鉄道や幹線道路などの交通の要所で、ウクライナ軍の一大軍事拠点でもある。ロシア軍は民間軍事会社、「ワグネル」が攻撃の最前線に立って来た。ウクライナ軍は正規軍の精鋭部隊の一部をここに投入し、攻勢を強めている。バフムートがロシア軍に落ちるのは時間の問題とも見られている。
バフムートの陥落はロシア軍にとって大きな意味を持つ。ここが落ちるとウクライナ軍が支配する2つの大きな都市、スリャビンスクとクラマトルスクの攻撃拠点になるからだ。この2つの都市が陥落すると、ロシア軍は東部、ドネツク州全体を支配する可能性が見えてくる。
一方、水面下で進行していたロシアが提案した休戦協定はうまく行かなかったようだ。この協定は水面下で協議され、動向はほとんど伝えられていなかったが、11月28日にドイツ大統領のフランク=ヴァルター・シュタインマイヤーは、現在行われているウクライナとロシアの間の休戦協議を拒否すると次のように発言した。
「休戦を勧めるのは軽率だ。この時点で休戦すれば不当な行為になる。ウクライナの休戦はロシアが占領地を自分たちのために維持することを意味する。これは、国境侵犯、国際法の蔑視、土地の強奪が容認されることになる」
ドイツ大統領のヴァルター・シュタインマイヤーがこのように発言したことで、休戦協定の提案が実際にあったことがはからずも明らかになった。そして、ドイツ大統領のこのような拒否は、ドイツがなんらかの仲介をロシアに依頼されれていた可能性を示唆する。
ウクライナは、ロシアの提案を拒否したようだ。ロシアはウクライナが提案を受け入れない場合、ウクライナの発電施設をすべて破壊するとしていたようなので、本日から数日中にウクライナに向けての全面的なミサイル攻撃はあると思われる。
残念ながら、政治的対話によって停戦が実現する可能性は低い。