fbpx

敵基地攻撃も可能「安保3文書」まで閣議決定で済ます岸田政権の狡猾さ。結論ありきの防衛費増額・大増税を疑うべき7つのツッコミどころ=原彰宏

岸田政権は昨年12月16日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書を閣議決定しました。反撃(敵基地攻撃)能力保有、5年間の防衛費総額を約43兆円とするなどの軍拡路線で抑止力を高めるとしています。問題とすべきは、臨時国会を閉じた後に閣議決定で決まったこと。国会で十分に議論する“必要はない”ということなのでしょうか?「安保3文書」に7つの問いをぶつけながら、この決定プロセスに問題がないのかを考えたいと思います。(『 らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』原彰宏)

【関連】日本国民はまるで政府のATM。給料の半分近くを税金と社会保険料で毟り取り、30年の失政のツケを私たちに払わせている=鈴木傾城

※有料メルマガ『らぽーる・マガジン』 好評配信中!ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

反撃能力の保有を含む「安保関連3文書」を“閣議”だけで決定

政府は、臨時閣議で「国家安全保障戦略」など3つの文書を決定しました。

敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、日本の安全保障政策の大きな転換となります。

このような日本の安全保障の根幹を変更することが、臨時国会を閉じた後に閣議決定で決まりました。

戦後日本の安全保障方針が大きく転換される「“反撃能力”を新たに持つ」ことができるという決議は、私たち日本国民に説明したうえで国会で十分に議論する“必要はない”ということなのでしょうか。

「反撃能力」も持つために必要なお金を、私たちが納めた税金で賄う。あるいは(国民負担ではないという議論もありますが)私たち国民が返済しなければならない国債発行で賄うという判断に対して、私たち国民にお伺いをたてる必要は本当にないのでしょうか?

国会こそが私たち国民が選挙で選んだ議員が議論する場です。

国会での議論があってこそ、代議制民主主義において私たち国民は、政治に参加することができるというものです。

民主主義が崩壊してきている……このことはここ数年、ずっと問われていることです。

すべてを「閣議決定」で進める政府ってどうなの?

昨年に多く見られた“すべてを「閣議決定」で決めてしまう”政府ってどうなのでしょう。行政プロセスとして国民は“蚊帳の外”になる状況って、民主主義として果たして正しいのでしょうか?

各紙世論調査では、数字割合は違えども、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に賛成の意見が多いという調査結果が出ています。

だからといって、国会審議を軽視して良いということになるのか、世論調査結果が「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有を国民が容認したことになるのでしょうか。

民主主義ってそういうものでしたっけ…。

余談ですが、「“多数決”が民主主義」ではありません。“多数決”は、あくまでも物事を決めるための手段のひとつに過ぎず、民主主義とは“広くみんなの意見を聞く”、つまり“少数意見にも耳を傾ける”ことが「民主主義」なのです。

「“多数決”が民主主義」ではありません。

そもそも、敵基地攻撃能力を「反撃能力」と、呼び名を変えることに、すごく違和感を感じています。

「世界基督教統一心霊教会(略称:統一教会)」が名称を「世界平和統一家庭連合(略称:家庭連合」に変えた背景を、好意的に感じている人はほとんどいないでしょう。

それと同じ感覚がしてしまいます。

“敵基地攻撃”と“反撃”では、言葉から受け取るイメージが全然違ってきますからね。

集団的自衛権審議のときも「平和安全保障法案」と、後から“平和”という文言が付け加えられましたよね。

“平和”がつくだけで、法案の印象がぜんぜん変わってきます。

そもそも名称変更には、そのものが持つ本質を隠す目的があるとするなら、裏を返せば、その本質が知られては困るということになりませんか。

名称変更って、どうしてもネガティブに捉えてしまいますね…。

「安保関連3文書」を検証してみる

この決定プロセスに問題があることを指摘しながらも、当たり前のように日本が武装強化することが前提となっている風潮について、素朴な疑問をいくつかの「問い」を立てて検証していきたいと思います。

まずは閣議決定した3つの合意文書の内容を、NHKニュースをもとに確認します。
※参考:安全保障関連3文書 政府が閣議決定 「反撃能力」の保有を明記 | NHK | 自衛隊(2022年12月16日配信)

1. 外交・安全保障の最上位の指針である「国家安全保障戦略」
2. 防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」
3. 防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」

このうち、「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」には、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することを明記しています。

「反撃能力」を「必要最小限度の自衛の措置」と定義し、「専守防衛」の考え方に変わりがないことを強調するとともに、日米両国が協力して対処するとしています。

「反撃能力」はこれまで「敵基地攻撃能力」とも呼ばれ、これを明記してきたことは、これまでの「専守防衛」に限定することとの整合性も含め、日本の安全保障政策の大きな転換となります。

また、「国家安全保障戦略」には、安全保障上の課題として中国と北朝鮮のほか、ウクライナへの侵攻を続けているロシアも新たに加えられています。

焦点となっている中国の動向については、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と記述し、アメリカの戦略と足並みをそろえています。

ここでのポイントは「反撃能力(敵基地攻撃能力)」保有の明記ですが、まずは“ロシアによるウクライナ侵攻”、並びに、“アメリカの戦略に足並みを揃える”というところにフォーカスして「問い」を立ててみたいと思います。

問1. 日本に迫っている緊急の“危機”とはなんですか?

Next: 誰のための閣議決定?7つの問いで見えた「安保関連3文書」の異質さ

1 2 3 4 5 6 7 8
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー