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敵基地攻撃も可能「安保3文書」まで閣議決定で済ます岸田政権の狡猾さ。結論ありきの防衛費増額・大増税を疑うべき7つのツッコミどころ=原彰宏

防衛力整備計画の期間を「5年」から「10年」に

「防衛力整備計画」は、期間をこれまでの「5年」から「10年」に延長したうえで、前半の来年度から5年間の防衛力整備の水準を、今の計画の1.6倍に当たる43兆円程度としています。

「中期防:中期防衛力整備計画」は防衛費の総額の規模や、防衛装備品の調達目標を定めるもので、今の計画は2019年度からの5年間で、総額27兆円余りとしています。

防衛備品調達を長期で行う…なんか役所が「備品調達」ってワードを持ち出すと、なんかいろんなことを考えてしまいます。43兆円って、決して少ない金額ではないですからね。こういう細かい部分がついつい気になる、悪い癖ですね…。

能動的サイバー防御、「航空宇宙自衛隊」に名称変更

サイバー被害の拡大を防ぐため、先手を打って対抗措置をとる「能動的サイバー防御」の導入、それに海上保安庁について、体制を拡充し、自衛隊と連携を強化することを盛り込んでいます。

ウクライナ戦争で学んだことは、通信網が遮断されたら終わりだということです。

米宇宙開発企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏は、人工衛星に基づくインターネット接続サービス「スターリンク」をウクライナへ無償提供し続けていることで、つまり、ウクライナは「スターリンク」のおかげで、ロシアによる侵攻後も市民や軍がネット利用環境を確保できているのです。

もし日本が有事に巻き込まれた際には、何が何でも通信網は確保しなければならず、そのためには予算を立てて自前の衛生通信網を構築するか、イーロン・マスク氏と親密な関係を構築しておくことが必要ではないでしょうか。

トマホークミサイルを大量に購入することも大事ですが、それ以上に衛生通信網の構築を考えることが大事なような気がします。

世界における情報戦への対処も大事です。

サイバー領域でも対応を強化するため、自衛隊のサイバー防衛部隊などの要員を、2027年度をめどにいまの4倍以上のおよそ4000人に拡充するとしています。

また、「国家防衛戦略」では、陸・海・空だけでなく宇宙・サイバー・電磁波の領域も含めて対処できるよう「多次元統合防衛力」を抜本的に強化するようで、宇宙の領域での対応を強化するため、2027年度までに航空自衛隊は「航空宇宙自衛隊」に名称を変更するようですよ。

自衛隊の運用を一元的に指揮する常設の「統合司令部」を新たに設置します。

宇宙にまで自衛隊を広げるとなると、どれだけ予算を拡大しなければならないのでしょうかね。今の予算でも足りないでしょう。

こんなことも閣議決定していたのですね…。

2027年度に防衛費と関連経費を合わせてGDP2%の予算措置を講じる

ここからは「お金」の話です。

改めて「安保関連3文書」は以下の3つでした。

1. 外交・安全保障の最上位の指針である「国家安全保障戦略」
2. 防衛の目標と手段を示す「国家防衛戦略」
3. 防衛費の総額や装備品の整備規模を定めた「防衛力整備計画」

これらに5年間で総額およそ43兆円を確保します。現行防衛費が5年間で約26兆円ですから、増額部分は17兆円になります。

報道によると、「国家安全戦略」と「国家防衛戦略」に明記された、敵の射程圏外から攻撃できる「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の中心になる「スタンド・オフ防衛能力」の分野におよそ5兆円を充てる方針です。

また、航空機や艦船といった装備品などの維持整備におよそ9兆円、自衛隊の施設の老朽化対策などにおよそ4兆円、弾薬や誘導弾の購入におよそ2兆円を充てる方針です。そして無人機、宇宙、サイバーの分野にそれぞれおよそ1兆円を計画しています。

政府はいまより増やす防衛費約17兆円の財源として、以下で対応すると説明しています。

・歳出改革
・決算剰余金の活用
・「防衛力強化資金(仮称)」の新設

それでも不足する部分は「税制措置」で対応すると。つまり、「増税でまかなう」考えを示しました。

Next: 米国の不良在庫処分?約5兆円分が「反撃能力(敵基地攻撃能力)」に

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