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敵基地攻撃も可能「安保3文書」まで閣議決定で済ます岸田政権の狡猾さ。結論ありきの防衛費増額・大増税を疑うべき7つのツッコミどころ=原彰宏

<問2. 反撃能力(敵基地攻撃能力)が想定する「敵」ってどこですか?>

「国家安全保障戦略」には、安全保障上の課題として中国と北朝鮮のほか、ウクライナへの侵攻を続けているロシアも新たに加えられています。

「仮想敵国」という表現がありますが、それは明確に何処かの国を「敵国」にすることで、その「敵国」がどのように日本を攻撃してくるのかを具体的にシミュレーションをして、日本は具体的な対策を練り、そのために必要な予算を見積もることになっているのでしょうか。

なんかマーケティングにおける「ペルソナ設定」に似てませんか。ビジネスの世界では、「ペルソナ設定」があやふやな計画者や見積書は否定されます。「敵国」と指定するには、感覚や感情ではなく、きっちりとした根拠をもって捉えられているのでしょうね。

そもそも何を持って「敵」とみなすのか…。

中国とは、日本だけでなく多くの国が経済的な関係を強くしています。もはや中国なくして経済は成り立たないと言っても過言ではありません。

その中国が、本当に日本にとって「敵」になるのでしょうか。中国にとっても日本は「敵」なのでしょうか…。

もし中国が日本に軍事攻撃を仕掛ければどうなるかは、あれだけ米国と経済戦争をしてきた中国自身が、よくわかっているはずです。

中国が台湾に軍事侵攻したら、周辺国の有事として日本も中国と戦わなければならないということが言われています。そのときの中国は「米国の“敵”」になります。米国は明確に、中国が台湾に軍事侵攻したら軍隊を派遣することを述べています。

ということは、その時に日本の自衛隊が出動するのは「専守防衛」ですか、それとも「集団的自衛権」行使ですか。その時の「敵基地攻撃」って日本の“敵”ですか、それとも米国の“敵”を攻撃することになるのでしょうか。

集団的自衛権行使 × 敵基地攻撃能力 = 同盟国の敵攻撃に加担?
誰のための自衛隊攻撃能力強化?
誰のための防衛費増額?

「問い」に戻りますが、「仮想敵国」とは、具体的にどこの国で、その国が“敵”と認定される根拠は何でしょうか。どのような行動を日本に仕掛けてくることが想定されていて、その対策として日本は何をして、どれだけのお金をかけるのでしょうか…。

<問3. 「反撃能力(敵基地攻撃能力)」って、憲法の枠内の行為ですか?専守防衛の延長線上にあるのですか?>

“そもそも”という話にはなりますが、このような根本的な「問い」に関しては、もう議論は出尽くしていて、すでに解決している問題なのでしょうか。

当然、立場によって意見が異なるでしょう。自民党と公明党は「Yes」という立場で「3文書」に合意したのでしょうからね。立憲民主党は、解釈を巡って意見が党内でも分かれているようですし、共産党ははっきりと「No」ですね。

この「問い」に対する答えを求めても時間ばかりが掛かって、ある一定の答えを導き出すことはできなさそうです。

それこそ国民を二分するような議論を「閣議決定」で、国会審議を経ずに決めてしまうという行為を、どう考えれば良いのか、そちらのほうが気になってしまいます。

あっ、だから「閣議決定」なのですかね…。

<問4. 「反撃能力(敵基地攻撃能力)」発動のタイミングはいつですか?>

ここは与党側も、いま議論中だとのことです。

このようなことを明確にしないままで「反撃能力(敵基地攻撃能力)」という文言が明記されたのでしょうか。相手を殴るかどうかの判断は、拳を振り上げたときなのか、上腕二頭筋に力が込められたときなのかと言うようなものですね。でも上腕二頭筋に力が込められたことは、目視で確認できるのでしょうかね。

発動タイミングに関しては、ミサイルに燃料が込められたときに攻撃の意志があるとみなされるとか、どうやらそういう議論のようですが、それを日本側が主張したところで、日本の判断でミサイルを打ったとしても、それは国際世論で日本の「専守防衛」と認識してくれるのでしょうか。

相手がミサイルを打とうとしたから先に打ったという話を、国際世論は素直に理解してくれるのでしょうか。そもそも「反撃」の証明は、どっちの国が行うのでしょう…。

すごく素人な質問で申し訳ございません。でも素朴な疑問です。

またこんな記事があります。

政府案では、敵のミサイル拠点などをたたく「敵基地攻撃能力(反撃能力)」について「日米が協力して対処していく」と明記。米国との安保協力を強化させる一環として、「反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整」を挙げた。<中略>

出典:敵基地攻撃、日米協力を明記 政府案、専門部隊を新設 自衛隊は「盾」、大きく変質:朝日新聞デジタル(2022年12月14日配信)

さらに記事にはこうあります。

具体的には「相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力」と説明した。

その上で、敵基地攻撃について「弾道ミサイル等の対処と同様に、日米が協力して対処していく」とした。また、日米の抑止力・対処力を強化する取り組みの一つとして、「反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整」を挙げた。

出典:同上

「日米が協力して対処」「反撃能力の行使を含む日米間の運用の調整」……記事の中の「スタンド・オフ防衛能力」とは、遠方から敵を攻撃する能力で、具体的な装備は、長射程ミサイルを念頭に置くと解説しています。

日本の予算で長射程ミサイルを配備し、そのオペレートは日米強力で管理するということですか。日本の“敵”である相手のミサイル発射基地を叩くのに、日米が協力して、反撃能力などの運用調整を日米間で行うってどういうことでしょうか。

誰がどこで判断してミサイルのボタンを押すのか…。日本単独で「反撃」はできないということなのでしょうか?「敵基地攻撃能力」の“敵”って、いったい“誰”の敵なのでしょうか…。

Next: 問5. 今の自衛隊の実力では不足なの?日本の軍事力は世界5位との調査も

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