<問5. 今の自衛隊の実力では不足なのですか?>
軍事分析会社グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)は、軍事力、財政、兵站、地理など50項目を超える要因を加味した軍事力指数軍事力指数(Power Index/PwrIndx)を用いて算出した2022年版の世界軍事力ランキングを発表しました。
それによると日本の軍事力の実力は、世界5位だそうです。
1位は「米国」で、以下2位は「ロシア」、3位「中国」、4位「インド」、そして5位に「日本」がランクインしています。6位から10位を見てみますと、韓国、フランス、イギリス、パキスタン、ブラジルと続きます。
順位だけを見れば、日本は十分な「軍事大国」と言えそうです。
グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)は、50項目もの要素を分析して、各国の軍事力に「PowerIndex(PwrIndx)」スコアを付けています。
最も完全な軍事力は「0,0000」となり、数字が小さいほど国の理論上の戦闘力は強力になります。ただし、核能力は考慮されていないそうです。
このスコアをもとに各国の軍事力の差を見てみますと
1位 アメリカ 「0.0453」
2位 ロシア 「0.0501」
3位 中国 「0.0511」
4位 インド 「0.0979」
5位 日本 「0.1195」
アメリカ、ロシア、中国はだいたい軍事力が拮抗していて、インドから差がついていくような感じで、日本から見てロシア、中国との軍事力の差は、大きいと言えそうです。ちなみに北朝鮮は30位で、スコアは「0.4621」になっています。
世界の軍事費は、2021年に初めて2兆ドルを超えたとロイター通信は報じています。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)調査によるものですが、同研究所は、世界の武器取引の動向に関する調査も発表していて、2017~2021年の武器取引量は、それ以前の5年間に比べて減ってはいるものの、米国だけは武器輸出が大幅に増加していることを伝えています。
それを伝えているのは中国新華社であることは、書き添えておきます。
※参考:世界に動乱をもたらし危害を加える米国の武器輸出増加 – 人民日報(2022年3月17日配信)
米国における軍需産業の存在が、いろんなところで話題になっていて、日本の防衛費増額、米国より大量の武器を購入することと、決して無関係ではないのかもしれませんね。
政府は、「世界5位」の軍事大国の状態から、さらに防衛費を倍増すると言っています。そのあり方に必要性はあるのか、考えさせられます。
問6. 外交の力、国連の役割、安全保障とは?
国連常任理事国であるロシアが、武力でウクライナに侵攻しました。同じく常任理事国である中国が香港に行ってきた非人道的な行為、さらにこれから台湾にしようとしていることを、国連はどう平和裏に対応することができるのでしょうか。
いま、国連の存在が問われています。
もともと安全保障の本質は、「戦争が起きたらいかにして国を守るか」という議論ではなく、「いかにして戦争を起こさないようにするのか」を議論することではないでしょうか。平和裏に国家間紛争を解決することが、国連に求められる役割だと思ってしまいます。外交能力が問われます。
自衛隊は、日本国家の安全を守るために存在するとするなら、誰のための「安全保障」かと問えば、それは“国民の安全”のためだと即答されるでしょう。
その安全保障は、他国からの侵略だけでなく、「災害国」日本においては、自然災害が起きた時に住民を守ることにも、自衛隊は大きな役割を担ってくれています。その面から、日本の誰もが自衛隊の人たちに感謝しない人はいないでしょう。
その自衛隊員が、瓦礫を取り除くための道具を、人を殺戮するための道具に持ち替えて戦地に赴くことを、誰が望んでいるのでしょうか。専守防衛として国民を守るのならまだしも、他国のために命を犠牲を強いられることの合理性を、どう考えれば良いのでしょうか。
外国で日本人が危機に面しているときに、今の法律では自衛隊員は日本人を救うことができないとか、自衛官は警察法のもとにあり軍法会議がないことの不自由さとか、改善する議論は大いに進めるべきです。現場からの訴えには、耳を傾けるべきです。
話が、取り留めのないものになってきましたが、世界における国連という役割や枠組みなどは、今後は見直すべきところにきているのでしょうね…。