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敵基地攻撃も可能「安保3文書」まで閣議決定で済ます岸田政権の狡猾さ。結論ありきの防衛費増額・大増税を疑うべき7つのツッコミどころ=原彰宏

反撃能力(敵基地攻撃能力)に5兆円

増額17兆円のうち、約5兆円が「反撃能力(敵基地攻撃能力)」にかかわる兵器費用です。

反撃能力(敵基地攻撃能力)に必要なのは「スタンド・オフ防衛能力」、遠方から敵を攻撃する能力で、具体的には「長射程ミサイル」をイメージするものです。

防衛費増額のポイントは「スタンド・オフ防衛能力」にお金をかけることだと、岸田首相も強調しています。

陸上自衛隊保有の「12式地対艦誘導弾」能力向上(射程を大幅に伸ばす)量産費用約1兆円、JASSM 戦闘機に搭載する射程距離を伸ばすミサイル購入約1000億円、国性巡航ミサイル「トマホーク( 30年前の湾岸戦争使用されたもの)」購入額等は未定となっています。

“射程を延伸する”「12式地対艦誘導弾」能力向上や「JASSM」ですが、TBS「サンデーモーニング」の報道によれば、前者の射程距離は1,000Km、後者は900Km、トマホークミサイルは2,500Kmだそうです。

中国を「仮想敵国」と想定してるとして、中国のミサイル発射基地は、どうやら内陸部のゴビ砂漠にあるという報道があります。Googleによると、日本からゴビ砂漠までの距離は「2,921Km」だそうです。
※参考:中国の砂漠に「仮想・横須賀基地」 ミサイル実験場か [米中争覇] – 朝日新聞デジタル(2019年4月7日配信)

本当に中国ゴビ砂漠にミサイル発射基地があるのかどうかは定かではありませんが、もし敵基地攻撃を目的とした武器購入なり改良なりであったとしたら、「なぜトマホークなの?」という、素朴な疑問が浮かんできます。

2027年度までに最大500発のトマホーク購入が検討され、相手の発射拠点をたたく手段とするようですが、トマホークは、もう開発から40年以上経過しており、実戦での効果を疑問視する声も出ています。「米国の不良在庫処分」なんて揶揄する声も見られます。

さらに、射程が2,000キロから3,000キロとされる「極超音速ミサイル」も開発し、2030年代に配備するとしています。

そのほかに、「防衛力整備計画」では、イージス艦や戦闘機など、自衛隊の主要な装備も増強するとしています。

航空自衛隊の戦闘機については、現在の計画のおよそ290機の体制からおよそ320機の体制に増やすとしています。F15の退役を進める一方、レーダーに捕捉されにくいステルス性能などを備えたF35を5年間で65機調達するということです。

次期戦闘機については、F2の退役が始まる見込みの2035年までに配備を始められるよう、5年間でおよそ7,700億円をかけてイギリスとイタリアとの共同開発を進めるとしています。

米国からの武器購入は「米国のFMS(対外有償軍事援助)を利用し兵器の購入を進めている」と、ジャーナリストの半田滋氏は述べています。
※参考:価格は言い値、過払金も未精算…日本の防衛費増大の裏にある米国製兵器“爆買い”問題 – NEWSポストセブン(2022年12月13日配信)

FMSは米国の武器輸出管理法に基づき、米政府との直接取引で装備を購入する仕組みで、米国製の最先端兵器を購入できる反面、米国の「言い値」で価格が決まることや「納期」の遅れ、実際の費用が見積価格を下回った時に生じる「過払金」の未精算もたびたび発生しており、会計検査院が同制度の問題点を指摘していると、記事で述べています。

直接民間企業から買うんじゃないんだ?米国の軍需産業が米国政府に依頼して武器を売る?疑問はどんどん出てきます。

日本は米国からしか、兵器を買うことはできないのでしょうか。購入価格は、比較検討できないのでしょうかね…。

令和5年度与党税制大綱には「防衛費増額のための増税」とある

令和5年度与党税制改正大綱が、2022年12月16日に取りまとめられました。

大綱決定前の話題は、もっぱら防衛費増額に伴う財源として税制をどう変えるのか、法人税、所得税、たばこ税を増税する制度変更でした。

大綱では「第一 令和5年度税制改正の基本的考え方等」において「P.22」に増税率が書かれています。

1. 法人税
法人税額に対して、税率4〜4.5%の新たな附加税を課す。

2. 所得税
所得税に対し、当分の間、税率1%の新たな附加税を課す。
家計状況考慮により復興特別所得税の税率(現行2.1%:2037年まで課税)を1%に引き下げるとともに、課税期間を延長する。

3. たばこ税
1本あたり3円の引き上げ

以上の措置の施行時期は、令和6年以降の適切な時期とする

防衛財源の確保に向けて「歳出・歳入両面から安定的な財源を確保する」とし、増税について「2027年度に向けて複数年かけて段階的に実施し、2027年度に1兆円強を確保する」と明記しました。

増税「1兆円」ですか。附加税……復興特別所得税の付け替えのような…?しかも、復興特別所得税の税率を下げて課税期間を伸ばすって?なんか全体的に“こすい”感じがするのですけどね。

Next: 武装が本当に抑止力になるのか?米国に良い顔をしてから閣議決定

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