課徴金のせいでまた値上げ?
なお関西電力は、違反を最初に公正取引委員会に自主申告したため、独禁法の課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき、行政処分は免れているのです。つまり課徴金納付は課せられません。
関西電力は「自主申告」として、カルテルを結んだ経緯について、電力各社との競争の激化によって電力の販売価格が下がってきたことを受けて、2018年に開いた社内の会議で、関西エリア以外での営業活動を縮小する方針を決めたことを明らかにしました。
これはどういうことかといえば、中国電力、中部電力、九州電力管轄の人たちの電気料金は値上げして、関西電力管轄の電気料金は上がらないということになると思うのですよね。
これが「総括原価方式」として、電力会社に許されている、「経費まるごと利用者負担」という制度によるものだと考えます。
原発維持費用も、廃炉費用も、再生エネルギーの費用も、全て経費は利用者の電気料金に上乗せされるのです。
すべて電力安定供給の名のもとに……なんかひどくないですか。
しかも電気料金明細には、「再生可能エネルギー」にかかる費用項目は載っていますが、原発関係の費用項目は載せてはいません。
不当に高い電気料金を払わされておいて、課徴金が発生したからまた電気料金を引き上げるなんてことがあったら、完全に国民はなめられていますね。
バカにされていますよね。
自主申告した関西電力だけ処分を免れたが…
カルテルを結んだ経緯については、関西電力は自己申告で認めており、中部電力は「事実認定と法解釈に見解の相違がある」として、取り消し訴訟を起こすと発表し、「司法の公正な判断を求めていく」と訴えました。中国電力は1月30日、滝本夏彦社長と清水希茂会長が辞任すると発表、九州電力は会見を開いていないようです。
さらに、もう1つ問題となっているのは、エリアの送配電網を独占的に担っている関西電力送配電が託送システムで管理している顧客情報を親会社である関電社員が閲覧していたという事件です。
関西電力の一部の社員が、送配電子会社の全顧客情報を閲覧できる権限を与えられていたというのです。
関西電力は、権限を持つ5人のうち4人が2022年11月から2023年3月までに、計69件の情報を不正に閲覧していたと発表しました。一連の不正閲覧が最初に発覚した2022年12月以降も、関西電力による閲覧が続いていたことになります。
電気事業法は、送配電子会社が親会社と顧客情報を共有することを禁じているのです。
関西電力では、2022年12月、関電側で情報を閲覧できるシステムの不備が発覚し、システムを改修した後も権限を与えられた社員による閲覧は可能だったことが2023年3月に判明し、経済産業省が実態を調べるように求めていたとのことです。
2023年1月13日には、今度は東北電力の送配電子会社である東北電力ネットワークの顧客情報が同様に東北電に漏れていたことが発覚しており、さらに同18日、九州電力と九州電力送配電でも同じ問題が明らかになったとのことです。
もうぐちゃぐちゃですね。
発送電分離と言いながら親子会社の間柄だけに、こういうことは容易に想像できますね。