車の問題はマーケットに何の影響があるのか?
そうなると、中国やメキシコ、韓国は何をするかといえば、完成車輸出をやめ、メーカーがアメリカ本土に行き、そして半導体や電池メーカーも、部品調達比率規制があるわけですから、アメリカ本土に進出せざるを得ないのです。
その際に習近平が2020年に中国社会主義化促進計画を表明しましたが、社会主義は輸出しなくてよい、ということです。その代表例がティックトックで、個人情報を収集する中国企業はいらない、とやっているわけです。
中国はおそらく、これに言うことを聞くほかありません。中国は自分の工業製品を世界で売り捌き、そして経済成長を目指すわけですから、アメリカの国内ルールに従うほかありません。
そのほか、アリババが当局主導で分割をされていますが、おそらくインターネット市場は中国ではアリババの独壇場でしたが、アマゾンなどが進出する布石なのであろうね、と思います。
1990年代に電電公社が分割民営化されたのはアメリカの圧力…というのは周知の事実でしょう。そこに第二電電などが誕生しましたが、アメリカ企業など見る影もありませんけどね(笑)。うまくいくかどうかはアメリカさん次第です。
その最大のネックが、中国の社会主義輸出計画、つまりイデオロギー戦争で、アメリカに進出するのには、民主主義を標榜しなければいけない…ということが喧嘩の原因なのだろうね、と思います。そうしなければ、ティックトックやファーウェイのように徹底的に弾圧するぞ!という脅しなのでしょうね。
この自動車産業の復活によって何が起こるのか、を考えていくと
まず、中国企業・自動車メーカーは、最大の自動車の販路であるアメリカ本土では部品調達比率を達成できませんので、現地進出を図るのは自明のことでしょう。同様に韓国やメキシコもそうでしょう。
その間に、米国の自動車メーカーなどの復活があるとは思います。その意味は業績という意味ではなく、雇用という意味です。自動車産業は本体だけではなく、部品・販売・ローンなどのさまざまな雇用を生みだします。
おそらくそうなると、アメリカ、世界の製造業が復活していきます。
よく考えて欲しいのは、アメリカは去年4.5も利上げを行っても、2.6の成長を遂げているのです。前年が不振であったことを考えても、この事実です。今年は利上げをするでしょうが、去年ほどではないと想像されます。そのうえに「産業のコメ」である自動車が復活したら、どうなるのか?ということだけの話です。
よく暴落の話を聞きますが、暴落というのは去年より30〜40%も上昇したときに考えるものであり、現状、去年よりも安い株価で暴落が起こるというのは、よほどひどい事件が起こらない限り起こりません。
去年は4.5の利上げを行っても10%程度の下げ…と考えると、インフレが急落を起こすとは考えにくいもの。急落などありえなく、あっても5%でも厳しいのではないかな、というところです。
そうやって考えれば、「株価は上昇」と考えるべきだと私は思います。
為替に関しては、内閣府の景況判断に自動車産業に一部、回復の兆しが見えるとの文言が入っています。これは日本からの資金流出が昨今は言われており、中国人の観光客もいつ来るかも見えない状況において、かなり明るい話題です。
しかし、ドル円ですから、ドルも好調、円も好調となると「ドル>円」なのか「ドル<円」なのかで、円安か円高というのが決まるだけの話です。おそらく一昨年まで110円で安定していたのが、今後は130円±10円程度の為替になってくるのではないか、と考えています。そこに、中国人観光客がくれば10円くらいの円高になるのではないか、と考えています。
ただ、具体的な日本の産業の復活や日本株への投資などが見えているわけではなく、証拠がそろわないうちは緩慢な動き、円安気味に動くのだろうね、と予測しています。
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『
角野實のファンダメンタルズのススメ
角野實のファンダメンタルズのススメ
』(2023年4月8日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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