バフェット氏が日本に追加投資をすると表明して話題になりました。ジム・ロジャーズ氏も最新刊『捨てられる日本』で日本は危機にあるとしながらも「円安は日本復活の起爆剤」と述べており、現在も自身で日本株のETFに投資を続けています。なぜ世界3大投資家のうち2人も日本復活に期待しているのか?その理由と注目されている成長分野を解説します。(『 花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編 花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編 』)※この記事は音声でもお聞きいただけます。
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外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
世界3大投資家のうち2人が日本株を保有
シンガポール在住ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。ウォーレン・バフェット氏が日本株に「追加投資を検討」という単独会見の様子が日経で報じられています。
ジム・ロジャーズ氏も最新刊『捨てられる日本』で日本は危機にあるとしながらも「円安は日本復活の起爆剤」と述べており、現在も自身で日本株のETFに投資を続けています。
現在92歳と80歳の長老で大ベテランの世界3大投資家のうち2人が日本株を保有しているなか、今回は日本株の展望を解説していきたいと思います。
バフェットが買った「5大商社」株価は過去最高の高値
バフェット氏はバークシャー・ハサウェイを通じて2020年8月までに大手総合商社5社(伊藤忠商事、住友商事、丸紅、三菱商事、三井物産)にそれぞれ発行株式数の5%を超える投資を行っていたことが明らかになっていましたが、その後にも追加投資を行い、現在では保有比率を7.4%にまで高めています。
なぜ、バフェット氏は日本の商社株に投資したのでしょうか?彼の投資戦略として、割安株を長期的に保有するスタイルの「バリュー投資家」であることが挙げられます。
バフェット氏が5大商社に投資している最大の理由としては、日本株が割安であり、その中でも商社は特に割安だったからだと言えます。
PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)という指標があります。これは、株価がEPS(1株当たり純利益)の何倍の価値になっているかを示すもの。 現在の株価が、その企業の利益と比べて、割高か割安かを判断するのに使われる指標です。
例えば、伊藤忠商事を見ると、PERは8.05で(2023年4月17日時点)、東証プライム全銘柄の14.46倍と比べると割安です。
なぜバフェットは日本に投資するのか?
バークシャー・ハサウェイは2022年11月、円建て社債を発行し、合計1,150億円を調達しました。これは過去にないスピードで、円安・ドル高が進行したタイミングと重なります。
バークシャー・ハサウェイは安い円を低金利で調達したのです。米ドルを保有している者からすると、円安が進行すれば借金は実質的に目減りするからです。
また、米ドルを借りるにはオーバーナイトでも4.8%程度(4月14日現在)です。依然として低金利で借りることができる日本円は、外国人投資家からすると非常に魅力的に映るのです。
また、バフェット氏は近年、米石油大手オクシデンタル・ペトロリアム(OXY)やカナダの金と銅を生産する鉱山会社のバリック・ゴールド(GOLD)に投資するなど、コモディティに対するエクスポージャーを増やしています。
コロナ危機やウクライナ情勢などに伴い受給バランスが崩れ、インフレが長期的なトレンドになりつつある現在、コモディティに資産配分をしたい投資家は増えています。
バフェット氏の投資スタイルとして金などのコモディティを好まないということもあります。「金は輝くだけで役に立たず、何かを生み出すものではない」と言っています。
その代わりにコモディティにエクスポージャーのある会社の株を取得したと考えられます。株式であれば配当を得ることもできるからでしょう。日本の5大商社に関しても、世界のエネルギーや鉱物資源などの事業に投資しているからです。
なぜジム・ロジャーズも日本株の上昇に賭けている?
ロジャーズ氏が日本のETFに投資を続ける理由は、非常にシンプルです。その理由は、日銀が金融緩和を続けているから。資産家であるロジャーズ氏の財産は莫大ですが、日銀の資金にはかなわないので、より大きい日銀の投資に従うと言っています。日銀が日本株ETFを買い支えている限りは、それにフォローをすると断言しています。
また、現在80歳のロジャーズ氏は1ドル=300円台の時代も知っていて、昔に逆戻りして再度「円が弱くなる」可能性が十分にあると言います。
なぜなら、非常に長期に渡って日銀が円を刷り続けており、大量に通貨を刷れば、歴史的にその通貨の価値が下がるからです。通貨の価値が下がれば、輸出企業は「安さ」から国際競争力が増し、利益を上げることができます。
そのため、日本円の価値が下がれば、多くの日本企業の株価は上昇するというロジックなのです。
2人の天才投資家が見る「日本の成長産業」とは
ロジャーズ氏の投資の特徴は「変化」と「割安」にあります。割安なだけではそのまま放置されますが、割安の中に変化があれば、投資対象として積極的に調査をするというスタイルです。そして、投資の判断ができれば、長期投資をして上昇するまで辛抱強く待つスタイルです。これはバフェット氏にも共通する投資法でしょう。
ロジャーズ氏が日本の成長産業として特に注目しているのは――
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『
花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編
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』(2023年5月7日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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