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ChatGPTを禁止する政府に未来はない。生成AIは「天使か、悪魔か」の議論が不毛なワケ=原彰宏

「AIは人間の身体拡張」

仕事とは、営利を求めるのも大事ですが、社会的課題を解決すること、消費者の欲求にこたえるものとも言えます。

人々の利益になることを提供することで会社は評価されることでもあり、そのスキルを磨くのが働く者の使命でもあります。

そのために新しく「リスキリング」が再構築されてきました。

おそらく「リスキリング」の狙いは、AIの進化やRPA(Robotic Process Automation)が優先される職業についている人たちが、新しい道に進んでもらい易いようにすることにあるようにも思えます。

海外では「リスキリング」の成功例として、このような事例が多くあります。努力をしないで、スキルも得ようとしない人をどうするかという話ではないというのが前提にあると考えます。

経済的理由や身体的理由でスキルを得られない人への「セイフティネット」は必要ですが、制度設計において、能力を得られない人への対応は考慮しづらく、それらは「OJT(現場教育)」に頼ることになるのでしょう。

そもそも表題にある「ChatGPTは“天使”は“悪魔”か」という問いを立てること自体が、実はナンセンスなのかもしれませんね。

実業家の堀江貴文氏は、「AIは人間の身体拡張」と表現しています。自動車は人間の「足」の身体拡張……人間が走るよりもはるかに早く自動車や新幹線は早く移動することができ、そのことで「距離」という概念が大きく変わりました。「移動」という、いわば生産性のない無駄な時間を省くことで、より効率的な時間活用を実現できたのが自動車であり高速道路であり、新幹線ではないでしょうか。

さらにコロナ禍で進んだ「リモート化」により、その距離そのものの概念が大きく変わることになります。つまり、新幹線や高速道路網の普及により「距離が縮んだ」という概念から、リモートで「距離が“なくなった”」という感覚になったのではないでしょうか。

話を「身体拡張」に戻しますが、身体機能に異常をきたす人の補助ツールとしてのテクノロジーの進化は、目を見張るものがあります。

視覚・聴覚・味覚・歩行・認知・コミュニケーションツールなど、まさに健常者と同じ機能を有することができる、これこそまさに「身体拡張」という表現が当てはまるのではないでしょうか。

「ChatGPTで、ほとんどの人の知能がバージョンアップした」……堀江貴文氏の表現ですが、捉え方でまたいろんな意見が出てくるのでしょうが、これはこれで素直に受け止めても良いような気がしますけどね。

自分が考えるよりも、ChatGPTのほうが良い文章を書いてくれますからね。

ツールに善悪はない

大統領やFRB議長、大手企業のCEOのスピーチを、A41ページに纏めて…。論文を読みやすいように3分の1に要約して……こういったことに瞬時に対応してくれるのが「ChatGPT」です。

調べ物でも、今までいくつものサイトを探索ていたものが、ChatGPTが瞬時に調査結果を知らせてくれます。実に便利です。

この時点で、ChatGPTが使いこなせる人と、そうでない人との間に情報格差が生まれるでしょうね。今でも、Googleなどの検索バーに入れる言葉をたくみに操れるかどうかで、情報の取り方に差が出てきていますからね。

それゆえ、学校等の教育現場でChatGPTの使用規制を行うのには、同意しかねるのですね。ChatGPTが悪いのではなく、それを上手に使って子どもたちに理解させる側の能力や技量を磨くことが大事だと思いますがね。

・フェイクニュースが横行する
・嘘や間違った情報が簡単に広まる
・悪意のあるプログラムが作られる

……この話になると、人殺しの道具となり得る包丁をつくる人が悪いのか、世の中から包丁は撤去すべきなのかという議論になります。3Dプリンターが世の中に登場したときも、人を殺す武器が作られるとか言われましたね。

道具が悪いのではなく、道具を使う人間の教育が大事……あまりにもAIの進歩が早くて、制度や倫理など、人間のほうが追いついていない状況にあるのも事実です。

Next: 使いこなすしか道はない。間違いなくChatGPTは未来を変える

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