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沖縄海底ケーブルに中国盗聴器?通信・情報網を制する者が勝つ「現代の戦争」で日本は戦えるか=原彰宏

海底ケーブルを制する者は世界を制する

現在、世界中に4,000本以上、総延長140万キロ、なんと地球約35周分もの海底ケーブルが張り巡らされています。日本とつながるものだけでも、およそ30本はあります。

通信衛星は地上から3万6,000km上空にあり、例えば東京・ロサンゼルス間だと片道7万2,000kmになりますが、海底ケーブルだと9,000kmで到達できます。もちろん、海底ケーブルの方は、天候の影響も受けません。

海底ケーブルは、漁船の底引き網に絡まれないように8,000メートルの深海に張り巡らされています。深海の水圧に耐えれるのはもちろん、サメなどの生物に噛じられても切れないように、頑丈に作られているそうですよ。

海底ケーブルは、実はデータ通信のみに使われてるだけではなく、津波や地震を観測するのにも使われています。海底で地震の観測データは光のスピードで送られてくるので、地震の揺れや津波よりも速く地上に届くのですね。

スマホやパソコンと携帯の電波やWi-Fiでつながるネットですが、私たちの手元は無線ですが、建物や携帯の基地局から先は、なんと有線のケーブルでつながれているのですね。

海底ケーブルがなければ、速度の遅延なく動画投稿サイトを見たり、クラウドに写真を保存したりといった当たり前の生活ができなくなってしまいます。

どれだけ海底ケーブルは重要か。基地局がどうというレベルの話ではなく、世界の会社がしのぎを削ってその開発に乗り出しています。

光ファイバー……実際にデータが行き来する線ですが、なんと髪の毛の細さだというから驚きです。これが1本で1秒あたりDVDにして1万3,300枚分のデータを送信することができるのです。その容量は、この20年で100倍にまで増えたといいます。

その技術は世界の中でも日本企業のレベルの高さが目立っています。アメリカ、フランスの企業とともに、日本のNECがトップ3を形成し、3社のシェア合計は9割を占めています。

海底ケーブルを制すれば世界を制する……今回のテーマ「海底ケーブルと経済安全保障」の意味が、だんだんとおわかりいただけたでしょうか。

光ファイバー海底ケーブルに中国製盗聴装置?

今年2月、米国本土上空などに中国の無人偵察気球が複数飛来したニュースがありました。このときに、6月8日の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道を機に、米本土に近いキューバを拠点とする中国のスパイ活動の活発化が物議をかもしていました。

そして、日本近海においても光ファイバー海底ケーブルに中国製盗聴装置が仕掛けられていたことが、このほど通信会社関係者らの証言でわかったと報じているのです。

海底ケーブルに中国盗聴器?

まさに、米中対立「深海版」とでも言うのでしょうかね。

沖縄近海の光ファイバー海底ケーブルから中国製盗聴装置が発見されたことは、沖縄で1955年から発行されている在沖縄米軍を対象とした情報誌「This week on OKINAWA」6月4日号が、日本の一部通信会社関係者の証言をもとに報じたとあります。

通常、光ファイバーケーブルを通じて光信号を盗聴することは技術的に困難だとされているのですが、海底ケーブルの場合は、一定区間ごとに光信号の増幅装置が設置されており、発見された中国製盗聴装置は、この増幅装置を標的として仕掛けられていたというのです。

海底ケーブルの、一種の“ウィークポイント”ということですね。

この増幅装置から漏れる電磁波を盗聴し、情報を解析していたようだというのです。

沖縄における主要な通信網としては、NTTをはじめ、AU、KDDI、AT&T、さらに米軍による光ファイバー海底ケーブルがあげられ、沖縄ではこれによって日本本土をはじめ、他のアジア諸国・地域、グアム、ハワイ、オーストラリアなどと情報通信を行っている、いわば世界の「重要拠点」とも言える場所に当たります。

各国の諜報機関の盗聴合戦、かつては電話線だったのが、いまや海底ケーブルになったということでしょうか。

そういえば、南シナ海あたりで、中国のものと思われる船がずっと漂流していたなんてニュースがありましたが、あれって、海に潜って海底ケーブルに何か仕掛けをしていたなんてことはないでしょうね。

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