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沖縄海底ケーブルに中国盗聴器?通信・情報網を制する者が勝つ「現代の戦争」で日本は戦えるか=原彰宏

米中対立は上空でも海底でも…

先程の「米国本土上空などに中国の無人偵察気球が複数飛来していた」という話ですが、中国側は気象観測目的の民間の気球だと主張しましたが、撃墜後に調査した米国は、複数のアンテナや、センサーを動かすために必要な電力を供給するためのソーラーパネルが搭載されていたことを確認したそうです。

米政府高官は「携帯電話などの位置を特定し、データを収集する能力がある」などと指摘しているそうですよ。

日本近海の光ファイバー海底ケーブルに盗聴器らしきものが仕掛けられたのは、約5年前の2018年ころからだそうです。

経済安全保障の問題といえば、通信基地局のファーウェイが記憶に新しいですよね。

地上から海底へ…。

まさに経済安全保障の問題は、深海にまで及んでいるということです。そのうち制空権がどうとか宇宙がどうとか、はたまた北極圏をどこが制するとか、そういうのが問題になって来るのでしょうね。

海底ケーブルの総点検が必要か

海底ケーブル総延長が140万キロだと述べました。

NECをはじめ、米サブコムと仏アルカテルの3社が海底ケーブルの9割を担っていますが、話題の中国ファーウェイは5万キロほどに過ぎないそうです。

しかし中国は、この海底ケーブルの敷設も、現代版のシルクロード経済圏構想「一帯一路」計画の一部と見ているようですよ。

こういった海底ケーブルの経済安全保障の事例を、NHKwebサイト「知られざる海の底」という記事でいくつか紹介しています。
※参考:知られざる海底ケーブルの世界 – NHK(2023年6月20日配信)

以下は、ここからの抜粋です。

2015年にアメリカの新聞がロシアのスパイ船と潜水艦がアメリカの沖合に現れて海底ケーブルを探しているんじゃないか、いざというときには切られるかもしれないという記事を掲載しました。それ以降、数多くの海底ケーブルが結ばれている台湾の有事の懸念が高まり、地政学的なリスクが意識されるようになってきました。

2019年、アメリカのロサンゼルスと香港を結ぶ海底ケーブルの運用開始を目前に、トランプ政権が突如、安全保障を理由に、設置許可の取り下げを検討。結局、計画は変更され、香港ではなくアメリカとフィリピン・台湾を結ぶことになった。中国が香港への関与を強めようとする中、アメリカ当局が情報漏えいのリスクを懸念したとみられる。

2021年、世界銀行が主導したミクロネシア、キリバス、ナウルを結ぶ海底ケーブル事業に、中国のファーウェイと関係の深い企業が最安値で入札。アメリカとオーストラリア両政府が介入し、入札が取り消しに。結局、日米豪による連携支援プロジェクトとして敷設されることに。米軍基地もあるグアムとケーブルが接続して情報が漏えいすることを懸念したとみられる。

情報網を制するのが「現代の戦争」

この海底ケーブル建設を巡る記事もご紹介します。

世界では今、海底ケーブルの建設が相次いでいます。アメリカのグーグルは日本とカナダの間を結ぶ「Topaz(トパーズ)」を今年開通する予定です。またNTTと三井物産などは、去年、アメリカの西海岸と千葉・三重を結ぶ「JUNO(ジュノ)」を建設・運営する新会社を設立。2024年開通予定で、総延長は1万キロメートル。太平洋最大規模になる予定です。

そのグーグルとNTT、2つのビッグプロジェクトのシステム開発を受注しているのがNECです。主にアジア太平洋地域を中心に50年以上の海底ケーブル事業に携わっていて、世界シェアは3割ほど。この市場では世界3強の一角を担っています。

出典:“海底ケーブル”切断のリスクは? 専門家は日本の対策は不十分と指摘【WBS】(テレ東BIZ) – Yahoo!ニュース(2023年5月29日配信)

また経済安全保障の観点から政府も動いています。政府は2024年度にも、民間と共同で日本の国内外を結ぶ海底ケーブルの増設に乗り出します。

日欧間など海外との新ルート開通や、海外からのケーブルと日本の通信網をつなげる国内拠点の新設などを念頭に置き、政府はこうした民間事業を資金面から支援するとしています。

災害や地政学リスクに強い分散型の通信網づくりを進め、経済安全保障の強化につなげると報じています。

安全保障は軍事面だけの問題ではない、むしろ実弾を使う以外の、情報争奪合戦とか情報操縦とか、あるいは経済の根幹に関わる部分での戦いのほうが、遥かに重要になってくるのですね。

それが「現代の戦争」なのでしょう…。

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  • らぽ~る・マガジン第585号「海底ケーブルに中国盗聴器?」(6/26)
  • らぽ~る・マガジン第584号「分厚い中間層を復活させる『骨太の方針』って一体何よ…」(6/19)
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image by: JesperG / Shutterstock.com
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