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ビッグモーター騒動ほか不正続出「損保大手3社」株価下落は買いか?長期投資家が見るべきポイント=佐々木悠

ビッグモーターと損保ジャパン

そして、もう1つの不祥事の可能性「ビッグモーターと損保ジャパンの癒着」です。

実はこの問題、非常に根が深いものです。そしてあなたの自動車保険に悪影響がある可能性があるものですから、時系列で解説します。

<ことの発端は21年秋まで遡る>

連日メディアに取り上げられているビッグモーター事件ですが、ことの発端は2年前です。2021年秋、損保各社に向けて「上司の指示で過剰な自動車の修理を行い、その費用を保険会社に請求している」と内部告発があったことです。

そして、東京海上日動保険・三井住友海上火災保険・損害保険ジャパンの3社はビッグモーター側にサンプル調査を実施。全国33の工場のうち25の工場で水増し請求を行っていたことが確認されました。

その後、ビッグモーター側へ自主的な調査を要請し、サンプル調査の内容をもとに、関東4つの工場で水増し請求が発覚したのです。

しかし、問題はここからです。この後の追加調査が行われなかったのです。

<損保ジャパンの怪しい動き>

ビッグモーターの自主的な調査では、水増し請求の原因は「工場と見積もり部門の連携不足や現場社員のミス」「意図的ではない」などとしています。つまり、組織的な不正はないという姿勢です。

あなたが損保会社の人間ならどう考えますか?

おそらく「33分の25の工場で余計な保険金請求をしているのに、現場のミス?組織的に不正しているだろ!もっとちゃんと調べろ!」となるのではないでしょうか?

しかし、1社だけ「現場のミスで意図的ではないのね。再発防止策も実施しているのね、了解」と、ビッグモーター側の主張を鵜呑みにした会社があります。それが損保ジャパンです。

これが22年7月あたりの話です。その後、ビッグモーター内部で「東京海上と三井住友海上の自賠責保険は扱わない」という旨の通知がありました。

従って、損保ジャパンにとっては、「自動車保険の販売代理店であるビッグモーターの自賠責保険を総取りする」ような時期があったのです。ビッグモーターもうるさい保険会社とは関わらない、といった意図が見えますね。

しかし、22年9月に入り、他社のヒアリング調査によって組織的な不正の疑いが強まってくると損保ジャパンは「やはり再調査が必要だ」という姿勢に変わっていきます。

ここで方向転換をするには、これまでの姿勢と辻褄が合いませんね。

<メディアに取り上げられ世間の話題に>

さて、このような状況の中、23年5月のFRIDAYの記事や23年6月の調査報告書が公開されたことにより、一気にメディアに取り上げられます。

ヘッドライトのカバーを割る、ゴルフボールを靴下に入れて振り回して雹(ひょう)の被害で受けた傷の範囲を拡大させる、店の前に除草剤を撒く、元社長の不誠実な謝罪会見……などが注目されていますが、私たち消費者が気にするべき本質な問題はここではありません。

それは中古車販売業界や損害保険会社を、本当に信用していいのか?という問題です。

なぜならば、損保ジャパンはビッグモーターの第2の株主であり、ビッグモーターへ出向者を出しながらも、このような現場を黙認していた可能性があるのです。さらに先に説明したように、この騒動を早めに終わらせようという姿勢も垣間見えました。

そして騒動の本当の被害者は、過大な保険金を請求された保険会社や除草剤を撒かれた自治体ではなく、我々自動車保険に加入する一般の消費者やビックモーターで修理を行った人なのです。

Next: 業績にどう影響?最終的にあなたの自動車保険が高額に…

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