リスク2:米国株式市場の動向
しかし、決算は23年8月8日でした。執筆している8月24日時点でも株価の下落は止まっていません。
それはなぜでしょうか?
考えられるのは、米国株式市場の動向です。米国の株価もここ2週間ほど軟調です。S&P500の約2ヶ月の推移です。
この1週間前後の下落要因として、格付け会社のフィッチがアメリカ銀行株の格下げを示唆したことが挙げられます。金利高が長期化することで、銀行の資金繰りが悪化する可能性があるという理由で、格下げされる可能性があり、株安を促進しました。
ダイキンはアメリカにおける売上が30%と、アメリカこそが最大のマーケットです。
米国株の流れを受けてダイキンが下落した可能性は否定できないと考えます。
リスク3:中国不動産市況
もう1つ、考えておきたいことがあります。
それは中国の不動産市況のリスクです。垣大集団の経営不振や中国の売上高首位である碧桂園(カントリー・ガーデン)のデフォルト危機などが問題視されています。投資家として今警戒すべきリスクの一つだと考えます。
実は、エアコン市場の最大のマーケットは中国ですが、ダイキンの中国における売上割合は12%と決して高くはありません。最大のマーケットであるが故に現地の企業が強いのです。
一方で、24年3月期1Qのダイキンの中国における住宅用・業務用の販売はそれぞれ大きく成長していることから、現状中国不動産リスクがダイキンに与える影響は比較的小さいものと考えます。
しかし、不動産需要が停滞することは、住宅用エアコンの需要減を意味しますから、今後も動向を追うべきニュースであると考えます。
まとめると、ダイキンの株価が大きく下げている理由は主に2つです。
- 米国・欧州の販売動向
- 米国市場が軟調である波
一方でダイキンは魅力ある企業です。
- 世界中に販売ネットワークを確立していること
- 「率の経営」を掲げ、効率的な業務運営を行っていること
- 地球温暖化という不可逆の潮流の恩恵を受けること
内部環境と外部環境の両面において強さ・恩恵を受けている企業だと思います。
しかし、住宅や商業施設があってのエアコンですから、住宅需要などの景気動向の影響を受ける企業です。リーマン・ショック時には株価は70%近く下落しています。
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