市中では、ガソリン価格が1リットル200円に迫ろうとしています。原油価格は落ち着きつつあり、円安も一時よりはおさまった状況なのに、いったいなぜでしょうか?その原因は、日本の政府にあります。税制の構造問題が大きく絡んでいるのです。(『 らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』原彰宏)
※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2023年8月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
原油価格は落ち着いたのに、なぜガソリン価格は上がる一方?
高騰するガソリンへの補助金について、岸田総理大臣は9月末の期限を延長する方向で検討に入ったと報じられています。
市中では、ガソリン価格が1リットル200円に迫ろうとしています。200円ですよ。
世界で取引されている原油価格は、一時ほど高くないような気がします。
原油価格は、昨年夏前にWTIで1バレル115ドル近辺、ブレントで120ドルでした。 いま足元では、WTIで80ドル近辺、ブレントでも85ドル近辺で推移しています。
確かにロシアによるウクライナ侵攻で、地政学的リスクにより原油価格が高騰しました。
そして、「OPEC」と呼ばれるサウジアラビアなどの原油産油国が、減産とよばれる原油供給を絞っていることも、原油価格高騰の要因とはなっていますが、高いとは言え100ドルを超えるような高騰にはなっていません。
では、日本のガソリン価格が高いのは円安のせいなのでしょうか…。
たしかに円安になっているとはいえ、いまは1ドル145〜146円近辺です。一時ドル円は、150円台をつけていました。
日本のガソリン価格推移を見ると、今年の6月頃から急に上がっています。足元ではレギュラー価格が175円です。ハイオクは180円超、こんな数字は今まで見たことがないですね。
お盆の帰省時期に、ガソリン価格高騰はきついですね。
じゃあなんで日本ではこんなにガソリン価格が高騰しているのでしょうか…。
そこには「補助金」という存在があるのです。
燃料油価格激変緩和補助金
経済産業省資源エネルギー庁のホームページを見れば「燃料油価格激変緩和補助金」という文言を見つけることができます。
燃料油価格激変緩和対策事業として、以下の説明があります。
コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」(令和4年4月26日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議にて取りまとめ)に基づき実施する施策であり、原油価格高騰が、コロナ下からの経済回復の重荷になる事態を防ぐため及び国際情勢の緊迫化による国民生活や経済活動への影響を最小化するための激変緩和措置として、燃料油の卸売価格の抑制のための手当てを行うことで、小売価格の急騰を抑制することにより、消費者の負担を低減することを目的としています。
ガソリン価格が1リットル170円を超えると「激変緩和事業が発動」します。つまり、補助金が支払われ、市中のガソリン価格高騰を強制的に抑えます。
昨年1月から始まった「ガソリン補助金」は、市中ガソリン価格が上昇するに連れて補助金額は増え、ガソリン価格を「168円」におさえてきました。
ただその助金としての支給額は、今年の6月から徐々に縮小されることになり、日本のガソリン価格は6月から上昇幅が大きくなりました。
高速道路のサービスエリアのガソリンスタンドでは、1リットル200円を超えるということになりました。
そして、この補助金は9月で終了することになっていました。ここに、冒頭の岸田総理の発言記事がつながるのです。