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阪神、優勝目前で活気づく投資家たち。関連銘柄が軒並み高騰のなか“第2の大谷工業?”と俄かに注目を集める「AREホールディングス」とは?

先日の2位・広島東洋カープとの3連戦を3連勝とし、優勝へのマジックを5まで減らしたプロ野球・阪神タイガース。18年ぶりとなるリーグ制覇がいよいよ目前に迫るなかで、ファンのみならず投資家も俄かに浮足立つといった状況のようだ。

タイガースが好調、あるいは優勝するとなると、関西地方を中心に大きな経済効果がもたらされるというのは定説だが、理論経済学を専門とする関西大学の宮本勝浩名誉教授の推計によれば、今年仮に阪神がリーグ優勝を果たせば、その経済効果は関西だけでも約872億円にのぼるだろうということ。

その内訳としては、球場に足を運んだ観客の消費額が約56億円、タイガースファンの飲酒代が約325億円、祝賀セールの売上額が約40億円、さらに阪急阪神ホールディングスの株価上昇による効果を約5億円と、それぞれ見込んでいるよう。

ちなみに、今年3月のWBCで侍ジャパンが世界一になった際の経済効果が、同氏によれば約654億円だったということで、あの熱狂時をさらに上回るほどの経済効果がタイガースのリーグ優勝にはあると、大きな期待が寄せられているようなのだ。

アレを前にスポンサー企業の株価は高騰中

いっぽうで今年のタイガースの好調ぶりには、株式市場からも大いに注目が集まっているところ。なんでも「タイガースが優勝した年とその翌年は株高」というジンクスも、市場では囁かれているようなのだ。

市場では、タイガースの優勝で株価上昇は間違いなしといった、いわゆる関連銘柄に熱視線が集まっているところだが、ちなみに阪神タイガースの親会社である「阪急阪神ホールディングス」の株価の推移を見てみると、年始が3,800円台だったのが、プロ野球シーズン開幕以降はほぼ右肩上がりとなり、今月11日の終値は5,370円と、年初来上昇率は約41%に。

また、今後祝賀セールの開催が見込まれる阪神百貨店などの持ち株会社である「エイチ・ツー・オー リテイリング」の株価も、優勝が現実味を帯びてきた8月以降に値を上げ始め、こちらも年初来上昇率は約48%に。

このところはどの銘柄も好調といった日本市場だが、日経平均の年初来上昇率を見てみると約24%ということで、やはり“タイガース優勝間違いなし”といったところでの上乗せは、間違いなくありそうといったところである。

さらに、阪神タイガースのオフィシャルスポンサーをみてみると、「上新電機」「ローソン」「アサヒビール」といった企業も、多分に漏れず株価は好調な推移。特に子会社にタイガースの応援グッズの製造・販売を一手に手掛ける「シャープ産業」を擁するスポーツ用品メーカー大手「ミズノ」は、こちらも8月以降に株価が高騰し、年初来上昇率は約63%と絶好調のようだ。

過熱する“第2の大谷工業”探し

このように、親会社やスポンサー企業などといった、いわゆる真っ当な関連銘柄のほうは、タイガースの優勝を待たずして、すでに高騰しているといった状況なのだが、そんななかで注目を集めているのが、阪神タイガースに因んだ社名を持つ企業の、まさかまさかの株価急騰である。

というのも、今年3月のWBCで日本中が“大谷フィーバー”で湧いていた際には、名前こそ同じだが、大谷翔平本人とは全く関係のない鉄鋼製品メーカー「大谷工業」の株価が俄かに急騰。WBC期間中のわずか8営業日で、株価は4倍近くまであがるという現象もあったからだ。

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そういった意味合いで、ここに来てSNS上などで大いに取沙汰されているのが、「タイガースポリマー」「阪神内燃機工業」そして「AREホールディングス」などといった企業。

「タイガースポリマー」は自動車部品やゴムシート、樹脂ホースなどの製造、また「阪神内燃機工業」は内航船舶用ディーゼルエンジンの製造を主に手掛ける会社ということで、タイガースの優勝によって自社製品が売れるといったことは無さそうなのだが、やはりその社名が故に注目を集める状況となっている模様。

いっぽうで「AREホールディングス」だが、“アレ”といえば今シーズンからタイガースを再び率いることとなった岡田監督が、就任当初から“優勝”という言葉を使わず“アレ”と表現したことをきっかけに、いまでは選手やファン、さらには関西のマスコミなども使うようになったという、いわば今年のタイガースを象徴するトレンドワード。

それに対し「AREホールディングス」だが、神戸市に本社を構える貴金属リサイクルや精錬、産業廃棄物の処理などを手掛ける企業で、もともとはアサヒホールディングスという社名だったのだが、今年7月1日に現社名に変更。ちなみに同社のAREは「Asahi」「Resources」「Environment」の頭文字を取ったもので、今年のタイガースにあやかって……といったことでは決してないようである。

ちなみに先述した大谷工業の株価だが、一時の爆謄からはかなり落ち着いたとはいえ、現段階でも年初来からの上昇率は約80%だということ。最短だと今週14日にもタイガースのリーグ優勝が決まる可能性があるというなかで、市場はそんな“第2の大谷工業”探しに躍起といったところのようだ。

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