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皇居至近の超富裕層向け億ション予定地で遺跡発見も…埋め戻す方針の三菱地所レジデンスに賛否両論。一部からは「長屋王の呪い、再び」との声も

東京都千代田区の英国大使館跡地から弥生時代の集落跡が見つかったものの、再開発を進めている三菱地所レジデンスは、調査後に埋め戻してマンション建設を進める予定だと報じられたことが、大いに物議を醸している。

報道によれば、弥生時代後期前半(1~2世紀)の竪穴住居跡が21棟で、縄文時代のものも3棟あるとのこと。有識者によれば、弥生時代後期前半の集落跡がこれほどの規模で発見されるのは、都内はもとより関東南部でもほとんどないとのことで、学術的にも重要だということ。

ただ、現時点で国が指定する史跡相当の発掘とは言えず、今後は発掘内容を記録したうえで遺跡を埋め戻す方針だということ。地元自治体の千代田区は三菱地所レジデンスとの間で、遺跡の一部だけでも残すことや、発掘を公表した上で現地説明会を開くことについて協議を重ねたというが、同社の同意を得られず断念したという。

遺跡発見現場は超富裕層向け億ション予定地

今回、弥生時代の集落跡が見つかった千代田区の英国大使館跡地だが、もともとは1872年より、当時の大英帝国に対して大使館の用地として貸与していた土地だという。

それから時が経て2022年に、三菱地所レジデンスはイギリスから英国大使館の南側の土地(9,259平方メートル)を購入。他の不動産会社とともに再開発を行っているということだが、要は明治時代になって間もない時期から、掘り起こしての調査などがまったく行われて来なかった土地だということで、それゆえ今頃になって遺跡が発見されるに至ったということのようなのだ。

ちなみに三菱地所レジデンスなどは、この地に超富裕層を対象にした分譲マンションの建設を計画しているとのこと。

建物の詳細は明らかになっていないものの、高さは60メートル(20階建て相当)ほどで、地下部分も設置。なによりも皇居のほど近くで千鳥ケ淵公園が目の前という、今後二度と現れそうもないスペシャルな立地ということで、“億ション”どころの騒ぎではない価格となることは必至と、注目を集めていたようである。

ただ、このように遺跡が発見されたということで、目下のところは工事はストップ中。三菱地所レジデンス側としては一刻も早く工事を再開させ、恐らくは即完となるであろうマンションを完成させたいといったところだろうが、とはいえ遺跡の保全どころか現地説明会を開くことすらせず、再開発をさっさと進めようとする姿勢に対し、SNS上では「自社の利益を優先」などの批判が渦巻いているところ。

しかしながら、この手の遺跡調査に関しては、地権者や開発業者が負担することがいわば常例となっており、今回の件でもその費用は三菱地所レジデンスが負担しているとのこと。さらに工事の思わぬ停滞によっても、一定の損害を被っていることも考えられることから、そのうえでさらに遺跡を保存しろというのは無理がある話ではないのか……と、三菱地所レジデンス側への同情論も少なくはないようだ。

奈良で語り継がれる「長屋王の呪い」

そもそも埋蔵された文化財の発掘やその費用に関してだが、文化庁曰く“土中で保存状態にある物を掘り返すのだから、事業を進める側が負担すべき”との考え方に基づいて、地権者や開発業者が払うことになっている模様

ただ、実際のところ発掘やその費用負担は、あくまで行政指導による協力要請に留まるということ。文化財保護法などには、発掘費用についての明記はなく、また発掘費用を負担しなかった場合の罰則もないというのだ。

それゆえ、たとえ学術的価値があるとみられる遺跡であろうとも、保存の動きよりも地権者や開発業者の意向が優先され、開発が進んでしまうというケースもままあるのが実際のところで、その代表例とされるのが、奈良市にある平城京跡の一角に見つかった奈良時代の権力者・長屋王の邸跡だ。

1986年より発掘調査が行なわれた同地からは、およそ数万点に及ぶ大量の木簡が出土。従来の文献史料ではわからなかった貴族階級の人々らの生活が詳らかになるなど、学術的価値が非常に高いものとされ、当然遺跡を保全すべきとの動きもあったようなのだが、調査後はすぐさま埋め戻され、1989年にはもともと建設される予定だった百貨店「奈良そごう」が開店。

ところがこの「奈良そごう」だが、2000年のそごうグループ破綻もあいまって、その年末にわずか10年ほどで完全撤退。その後はイトーヨーカドー奈良店が開業したものの、こちらも4年ほどで閉店の憂き目となったため、地元・奈良県民らは口々に「長屋王の呪いでは……」とする事態となったのだ。

SNS上では、そういった過去の事例もあることから、今回の弥生時代の集落跡も埋め戻されるのは致し方ない、との見方も広がるいっぽうで、もしや三菱地所レジデンスにも今後“弥生人の呪い”的なものが発動するのではないか……といったことを危惧する声も浮上しているところ。

三菱地所の広報担当は「法や条例にのっとり行政と相談しながら対応している」と話す、今回の“億ション予定地での遺跡発見”騒動だが、果たして遺跡保全を求める声を受けて計画変更といったこともありうるのか、今後の展開に注目が集まるところである。

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