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韓国ダイソー、大創産業の保有株を全取得し完全独立へ。売上高3300億円と飛躍的成長。今後は海外市場などで本家・ダイソーとしのぎの削り合いか?

韓国国内で「ダイソー」を運営する同国企業「亜成(アソン)HMP」が、協業先である日本の大創産業から合弁会社「亜成大創」の株式をすべて買い取ったと発表された。

報道によれば、これまでの株主構成は亜成HMPが50.02%、日本の大創産業が34.21%を保有していたとのことだが、今回亜成HMPは大創産業側の保有株をすべて取得。これにより亜成HMPは大創産業との合弁を解消することとなった。

韓国ダイソーにとって悲願だった“日本離れ”

一部の間では、韓国のダイソーが日本の大創産業を乗っ取ったとの“誤解”も広がっているこの件だが、そうではなく言うなれば韓国のダイソーが大創産業から独立したという今回の話。

亜成HMPの前身会社は1992年に設立され、生活用品店を営んでいたとのことだが、2001年になり日本の大創産業から約4億円の投資を受け、その後は「ダイソー」の名前を使い始めたとのこと。日本の大創産業はこの投資により34.21%の持ち分を確保し、第2位の株主となったという。

韓国側の報道によれば、この投資は日本の大創産業が亜成HMPの前身会社が持つ製品力を高く評価し、独占取引を提案したことに端を発したものということで、その代わりに日本側は経営に介入せず、さらにダイソーの名もロイヤリティーなしで使えることとなったようだ。

その後は、20年余りで韓国全土に約1,500店舗を展開するまでの成功を収めた韓国のダイソーだったのだが、ここに来て日本の大創産業が経営参加と配当金の拡大を求めていたとのこと。それが契機に今回の株式買取となったということだが、それ以前に韓国のダイソーにとっては“日本離れ”が悲願だったよう。

というのも韓国国内で反日ムードが盛り上がると、その槍玉に挙げられることがしばしばあったようで、その度に韓国のダイソーの店内では「日本企業ではない」という旨の放送が流れることが恒例だったよう。また日頃から折に触れて、韓国国内のメディアなどを通じて「日本の会社ではない」とアピールすることに余念がなかったようなのだ。

それだけに今回の株式買取で、韓国のダイソーが日本との関係をついに解消したということで、多くの韓国国民にとっても、日々の生活に浸透していたダイソーが、実は日本の息がかかった企業だというのが、よほど我慢ならなかったようで「ずっとモヤモヤしていたから良かった。これからは安心して買い物ができる」などと、歓迎する声が殺到しているとのことである。

経営規模は“セリア越え”の韓国ダイソー

いっぽうで日本の大創産業側だが、約20年前に4億円ほどの投資で入手した株が、今回の件で5,000億ウォン(約550億円)になって戻ってくる格好に。

とはいえ、20年以上に渡ってのある意味での蜜月関係が、ここに途絶えることになったということで、今後両社がどんな関係性になっていくのかは大いに気になるところ。

23年度中にも市場規模が1兆円を突破するのでは……とも言われるなど、まだまだ成長の余地があるとみられている国内100円ショップ市場なのだが、そのなかでも大創産業は抜きん出た存在で、2023年2月期の売上高は5,891億円。それに同2,123億円(2023年3月期)のセリア、さらにワッツやキャン★ドゥなどの各チェーンが続くといった状況だ。

いっぽうで韓国のダイソーはというと、昨年の売上は2兆9,458億ウォン(約3,300億円)、営業利益は2,393億ウォン(約270億円)に達するということで、経営規模としては日本国内で2番手のセリアを凌駕するまでに成長している。

今後、大創産業が改めて韓国国内に出店を進める可能性はどうなのかといった話の反面で、韓国のダイソーも大創産業との資本関係が解消されれば、日本国内に“逆上陸”してくるのかはともかく、他のアジアなどへの進出を志向することも考えられなくはないところ。

海外進出といえば大創産業も、アジア圏に577店舗(2023年9月末現在)を擁するほか、海外25か国に967店舗を出店中。今後も海外進出を積極的に進めていくであろう大創産業にとって、韓国のダイソーがこの先手強い競合相手となる可能性も無きにしも非ずといった状況のようだ。

Next: 「韓国企業にはダイソーを名乗らないで欲しいですね」

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