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ブックオフでテントが“投げ売り”。コロナ5類移行とクマ出没急増でキャンプブームは終焉へ。古参勢からは「迷惑キャンパーが減ったら嬉しい限り」と歓迎の声

中古本・中古家電販売チェーン「ブックオフ」に、ほぼ新品とみられるキャンプ用品が投げ売りされている……そんな様子を紹介したSNS上の投稿が、大いに注目を集めているようだ。

本やCD・DVDのみならず家電や衣料品、家具など様々な買取に対応しているブックオフだが、この店舗にはかなりの数のキャンプ用品の買取が相次いだ模様。画像を見る限り、2メートルぐらいはありそうな棚いっぱいに、テントやシュラフらしきキャンプ用品の数々が並んでおり、しかも価格は“ゴミみたいな値段”なのだという。

1日足らずで1,000万件に迫る表示をされたこの投稿に対して、「ブーム終わっちゃったんやなぁって」「買っても使わなかった人がこんなにいるのか」「ゴミみたいな値段で売ってるのはゴミみたいな買取りしてるから」などと、様々な反応が飛び交っているところのようだ。

ブーム終焉でクマ避けスプレーの不法投棄も急増?

お笑い芸人のヒロシさんなどのキャンプ好きによる動画、さらにアニメ化もされた漫画「ゆるキャン△」などの影響もあり、2010年代半ばあたりから大流行となっていたキャンプ。コロナ禍においても“3蜜回避”というメリットでブームは続き、2020年の「新語・流行語大賞」ではトップテンに「ソロキャンプ」が選ばれるまでに至った。

ただ、猫も杓子もキャンプに赴くようになるなかかで、夜中まで騒ぐ若者、火を焚いてはいけない場所で焚火をする者、ゴミを放置して帰る者、さらにはソロキャンプ中の女性を狙って付きまとう変態男といった、いわゆる迷惑キャンパーの大増殖が大いに取沙汰されることに。

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そういった民度の低いキャンパーが特に集いがちな、無料で利用できるキャンプ場に至っては、あまりのトラブル続出で、一時期各地で閉鎖が相次ぐ事態にまでなった。

いっぽうで2021年には、とある自動車メーカーがキャンプブームに乗っかり出したコラボ企画で、こともあろうか“枯れ葉の上で焚き火”をするシーンを記事や動画で露出してしまい、当該企画に“キャンプに詳しいインフルエンサー”というスタンスで登場していた女子キャンパーが激しい非難を浴びるといった騒動も発生。キャンプ場が初心者だらけならインフルエンサーも素人同然と、呆れる声が広がったのだ。

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初心者のなかでも、当然ながらマナーなどをしっかり守って楽しんでいた人々が大多数だったわけだが、それ以上に上記のような迷惑者の存在が度々SNS上などで取沙汰され、悪目立ちする格好となっていた昨今のキャンプブーム。それだけにそのブーム、あるいはバブルの終焉を象徴するような今回の光景に対して、多くの人々が「さもありなん」といった冷めた反応をしている状況だ。

コロナの5類移行が大きく影響したとも言われるキャンプブームの失速だが、そもそもキャンプというものは、自ら好き好んで不便な場所に赴いて、そこで一夜なりを過ごすという、言ってみれば“人を選ぶ趣味”。

逆にハマらない者にはとことんハマらないということで、遅かれ早かれ今回のような事態になることは目に見えていたとも言えそうなのだが、そのいっぽうで今のタイミングでの“キャンプバブル崩壊”のさらなる原因として考えられるのが、昨年大いに世間を騒がせた「クマ被害急増」の影響だ。

里山だけではなく市街地にも、さらに地方だけでなく東京の八王子などにも出没するに至るなどし、近隣住民らを震撼させた一連のクマ騒動。

そういった場所にまで出るのなら、自然豊かな場所に続々出没するのは当然……ということで、このところはキャンプ場でのクマ目撃情報のニュースも相次ぐことに。暑い寒いやメンドクサイならまだ耐えられるが、命に危機が及ぶ可能性まであるとなれば、そんな趣味など止めてしまえ……と思うのも無理のないところだろう。

現に、ゴミ清掃員との二足の草鞋で知られるお笑い芸人、マシンガンズ滝沢秀一さんによるSNS上への投稿によれば、最近はキャンプブームの影響か、クマ避けスプレーが家庭ごみとして出されることが多いという。

キャンプ趣味から離れる者が増えるなかで、護身用にと用意したクマ避けスプレーを持て余して……といったところのようなのだが、万が一破裂すると清掃員らに危険が及ぶということで、家庭ごみでは捨てずに、産廃業者に連絡して欲しいということだ。

ブーム終了の反動に苦しむアウトドア関連企業

このように冒頭のブックオフの店頭だけでなく、思わぬところにもキャンプブーム終焉に伴う諸現象が起きているといった状況なのだが、いわゆるアウトドア関連企業の業績や株価にも、すでにその影響が色濃く出ているよう。

その最たる例が、新潟県三条市に本社を置くアウトドア製品の製造販売会社「スノーピーク」で、2021年12月期では売上高が1.5倍に跳ね上がるなど増収を重ねて来たものの、2023年に入るとその勢いが失速。直近の2023年12月期第3四半期決算では、売上高は前年同期比14.8%減の195億3,400万円、営業利益に至っては同77.2%減の7億800万円まで落ち込んでしまった。

他にも“職人向けブランド”からカジュアル路線へと軸足を移していくなかで、キャンプウェアにも大いに力を入れていたワークマンも、ここに来て客数が前年割れとなっているようで、多くのアウトドア関連企業がキャンプブーム失速による“反動”に苦しんでいる状況だ。

もっとも、ここ数年のブームが起こる以前からキャンプ好きだった古参キャンパーからは、「迷惑キャンパーが減ったら嬉しい限り」「キャンプ場の予約取りやすくなる」など、歓迎の声がかなり多いよう。ただ、その反面では「潰れるキャンプ場が増えそう…」といった、こちらもブーム急失速による思わぬ反動を案ずる声があがっているところのようだ。

Next: 「ブームに乗って出来た薄いキャンプ場の消滅も期待」

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